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第19話:有名人には必ずウラがある

2,30年前まではマスメディアが情報伝達の主流であったものが、ネットの進化によりその方法も多種多様になってきました。私も最近ではついついYouTube動画に見入ってしまうことが多いのですが、数多存在するユーチューバーの動きを見てみるのもマーケティングの観点から大いに参考になります。

最近私が知ったユーチューバーの一人がピアニストの「ハラミちゃん」です。ウィキペディアによると、ハラミちゃんは音楽大学卒業後、会社員を経て、2019年にピアニストとしての活動を始めました。YouTubeや動画配信アプリでのピアノ演奏を中心に活動していますが、YouTubeチャンネル登録者数は1年も経たないうちに何と50万人以上に達しています。「ハラミちゃん」の名前は、好物である肉のハラミから命名されたのだそうです。

彼女のピアノ演奏に私が惹かれたのは、そのレパートリーの広さと即興力です。年齢は非公表としていますが、おそらく20代後半?その若さで演歌からポップスまで幅広くこなすのです。石川さゆりの「津軽海峡冬景色」「天城越え」の演奏にはググっときました。そこで、今回は彼女の活動から見えてきた「マーケティング」発想を紐解くことにしました。

市場の細分化、軸を定める

ハラミちゃんのこれまでの活動をマーケティングの4Pで分析してみます。4Pとは、

Product(商品・サービス)

Price(価格)

Place(立地・流通・販路)

Promotion(販促・広告)

のことになります。まず、Product(商品)についてです。彼女の商品は「ピアニスト」その中でも「ポップス」に焦点を当てています。「ピアノ」と言えば「クラシック」というような、いわゆる「お固い」イメージを想像しがちですが、彼女は敷居の高さを下げ、もっと身近な楽器に感じてもらうために「ポップス」を選びました。

彼女は「ポップス」を主ジャンルとしながら演歌もこなし、知らない曲を即興で弾くプレイスタイルなどが話題となっています。しかし、このようなことができるのは日本中で彼女しかいないのでしょうか? 唯一無二の存在でしょうか?

私は専門的なことはわかりませんが、恐らくそうではないでしょう。彼女と同じ、いやそれ以上のレベルの人はいるのかもしれません。しかし、ある意味それはどうでもいいことです。

 

要は新しい市場、新しいポジションを作った方が勝ちです。最初にその商品を作った人が勝利者ではなく、人々の頭の中に「この人が最初の人」と認知させること、y要は演出力、プロデュース力で新しい価値を作ることの方が大事なのです。

上手であることは最低限の条件であって売れることの絶対条件ではない

私はそう考えます。ビジネスの観点からいえば、

マーケットを作る

ですね。なぜならそもそも聞くに堪えない下手くそなピアノを聞きたい人もいないからです。(もちろん、笑いを取るための下手くそな芸はありですが…)

料理に例えて言うなら美味しいよりも美味しそうに見えることが大事です。だって美味しそうに見えてから実際味わって「美味しい!」となるのですから…

細分化してコアなファンを作る

Price(価格)については今回は触れません。Place(立地・流通・販路)について考えてみましょう。彼女はこれを「ストリートピアノ」に焦点を当てました。

ちなみに、ストリートピアノとは、家庭で使われなくなったピアノや公共施設で更新のため余った古いピアノなどをボランティア団体や自治体などが、駅や公共施設などに設置したことから始まりました。

実は、鹿児島はその発祥地で、東日本大震災の被災者を元気づけるために開かれたコンサートで使われた南三陸町のピアノも鹿児島市の商店街から寄贈されたものです。

さて、「ストリートピアノ」という「場」を選んだハラミちゃんですが、中でも人が多く集まる「東京都庁」や「駅のコンコース」などを場所として設定しました。人が多く行き交う場所ですね。

そして、もう一つの場所が「YouTube動画」です。ストリートピアノとネット動画をうまく組み合わせて舞台に仕立て上げたわけですね。

昔ならピアノのコンテストに出場して、グランプリを取って有名になってコンサートなどで稼ぐ、という道がオーソドックスなやり方だったでしょう。しかし、それでは何年も時間がかかってしまいます。現代はネットという素晴らしいツールができたことで独自のマーケット、独自の客層をスピーディーに作ることができるようになりました。

ちなみに、昨年の早い段階の動画を見てみると観客はまばらです。ところが今では、単に好きな人が弾くという段階を超え、街角コンサートのゲストとして呼ばれるまでに至っております。まさに、「押しかけ演奏」から「お呼ばれ演奏」に変わってきているのです。

ドラマ、ストーリー性は誰にもある

さて、マーケティングの4Pの最後、Promotion(販促・広告)についてです。彼女はお金を出して広告を打つなどということはやっていないと思いますが、彼女の自己プロデュース法を見ていると広告の世界に共通することがあります。それが彼女のプロフィールにあります。

ハラミちゃんは4歳からピアノを習い始めたそうですが、小学校の休み時間に、多目的ホールに設置されていたピアノで演奏していると、多くの生徒が集まってきたと言います。「特に勉強も運動もできない私が唯一輝ける場所。それが、休み時間の音楽室だった」と語っています。

その後、音楽大学に進学し、ピアノを専攻して卒業したものの、挫折して一般企業に就職。一般企業で会社員として働いていたが、「ついついやり過ぎてしまう」性格が災いし、体調を崩し休職したのです。ちょっと真面目で一本気なところがそうした挫折につながったのかもしれません。

でも、神様は見捨てていませんでした。彼女が休職している間に先輩が気分転換にと彼女を引っ張りだしたのです。向かった先は東京都庁。そこにあったストリートピアノの演奏風景をYouTubeに投稿したところ、瞬く間に再生回数が伸び、2週間で30万回を超えたのです。これをきっかけに、一度は諦めたピアノの夢をもう一度追いかけることになったのです。どうですか、これだけでももっとハラミちゃんのことを知りたいと思いませんか?

勉強ができなかった→ピアノを弾けることが自信になった→音大に進学できた→しかし社会人で挫折し、病気になった→先輩が助け舟を出してくれた→もう一度立ち上がった→ネット環境に自らの立ち位置を見つけた→中野サンプラザでのワンマンライブが決定した→初のカバーアルバムを発売する

この一連の流れそのものがPromotionです。さらに言えば、もう一つ要素があります。

ギャップと容姿

です。

彼女は金髪です。しかも必ずポーチみたいなバッグを肩にかけて演奏します。また若いのに演歌も演奏します。ハラミという名前もユニークです。

他にも自分プロデュースとして自らのライブを「ハラミ定食」ファンのことを「お米(おまい)さん」、小さい子どもファンを「子米(こまい)さん」と呼んでいます。こうしたギャップ、ユニークなネーミングが自分自身のブランド化につながっているのです。

このように彼女の変遷ぶりを見るだけでマーケティングのヒントが隠れていると思いませんか?ハラミちゃん自身がどこまでマーケティング発想を意識していたかわかりませんが、自然とそれが貫かれていたことに気づきます。

我われはつい「自分には才能がない」「自社にはこれといった特徴がない」と思いがちですが、ちょっと見方を変えただけで、世の中にアピールできる物語が眠っているはずです。皆さんご自身にも、会社自体にも眠れる資産はきっとあります。その資産の発見に取り組んで見ませんか?マンプロもお手伝いします。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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