マンガの魅力を挙げればきりがありません。それぐらい様々な要素を含んでいますが、私たちは次の3つではないかと考えています。
この他にも時間を短縮する効果や気軽に読める、手にできるなどの効果も考えられますが、あえてこの3つに絞りました。
マンガの特徴の第一は何といってもこれ「目立つ!取っつきやすい!」でしょう。では、なぜマンガは「目立つ!」のでしょうか?世の中にはそれこそ膨大な情報があふれています。チラシ、新聞、看板、ホームページ、ブログ、SNS etc.しかし、その大半が文字や写真を中心とした情報でその他多くの中に埋もれています。ちなみに下記の数字をごらんください。
1:8.7
これはここ8年間で私たちが受け取る情報量がどれだけ伸びたか、の数字です。(出典:総務省「ビッグデータ時代における情報量の計測に係る調査研究」(平成26年))2005年と2013年では実に8.7倍に増えています。
これを昭和初期の頃と比較すると50倍,100倍、いやそれ以上になっているかもしれません。考えてみれば納得できます。
そしてもっとも影響を与えたのがネット。インターネット草創期はホームページとメールだけだったものが今ではブログ、ツイッター、FB、インスタなどのSNSツールにいたるまで莫大な量です。私たちは何ら意識せずとも情報洪水の中にいるわけです。もう一つ数字を挙げます。
1:1.09
これは私たち人間の情報処理能力がどれぐらいUPしたかの数字です。(ちょっと古いですが、情報通信政策研究所調査研究部が平成21年に調査した「我が国の情報通信市場の実態と情報流通量の計量に関する調査研究」のデータです。)平成13年と21年でわずか9%しかアップしていないのです。以上、二つのデータから人間はどのような行動をとるかというと
関係ない情報はスルーする
のです。つまり、一目見た瞬間に「関係ない!」と思ったらさっさと次の行動に移ってしまうのです。それがどんなに重要な情報だろうと…これは実に怖いことです。それはそうでしょう。すべての情報に目を通していたら私たちの頭はパンクしてしまいます。結局、肝心なことがまったく伝わらないことになりかねないのです。だから「取っつきやすさ」が大事なのです。まず注目させることが重要なのです。そこで注目させることに長けているのが“マンガ”。もう一つキーワードをご紹介します。
「AIDMA」
という言葉を聞かれたことがありますか?これは、人の行動パターンを表すマーケティング用語ですが、人はその商品・サービスの存在を知る(Attention)→興味を持つ(Interest)→欲しいと思う(Desire)→記憶する(Memory)→購入する(Action)というプロセスを経て行動しています。つまり、いきなりActionには行かないのです。その大前提が存在を知ること、興味を持つことにあります。この二つの感情を喚起するのにマンガはもっとも適しているのです。
もちろん、文字情報は大切です。最後に人間を納得させる、すなわち本物の欲求を湧き立たせるには文章で訴えることが必要です。しかし、それは「読んでみよう!」という気持ちの喚起があってのことなのです。
このように漫画の最大の特徴は「目立つ」「取っつきやすい」にあると言えますが、最近、漫画が広告に使われだしています。しかし、まだ主流ではありません。少数派なのです。だから余計目立つわけですね。
では、今後完璧に主流になるか?と言えばそうとも言い切れません。漫画制作は、キャラクター設定から、シナリオ・ストーリー作り、作画に至るまで多くの工程を経るためにどうしても価格が高くなってしまいがちなことと、制作のための人材が急激に増えることが難しいため、需要と供給のバランスから徐々に浸透していくものと考えます。
マンガの特徴の2点目が「わかりやすい!」です。ではなぜわかりやすいのでしょうか?絵と文字の合成だからです。
絵は文字情報の7倍
と言われます。
ちなみに、次の文章とイラストを比較してみてください。
これを絵に変換してみます。
いかがでしょうか。たった一枚の絵でわかります。つまり、長い文章を、絵を使うことによって短縮して伝えることが「わかりやすい!」につながっているのです。
他にも「わかりやすい!」理由があります。マンガは、コマ割やページ割によって明確に順序よく組み立てられていること、ストーリー仕立てで読み手の感情の高まりに合わせて進んでいくこと、そのコマが時間の経過を表現していることがあります。 さらに、ところどころに例え話やボケやツッコミといった笑いを盛り込んでいることから要点がハッキリしやすいことなどが挙げられます。
特に、説明を要する商品やサービスの場合、文字だらけの広告になりがちです。そうした場合でもマンガでポイント・ウリを要約する、本文を読ませるための「ツカミ」として使うことによって訴求力アップにつながります。
マンガの特徴3点目は「おもしろい!」です。皆さんはテレビドラマや映画はお好きですか?特に女性にはテレビドラマの好きな方が多いように思いますが、なぜおもしろいのでしょうか?
ドラマには必ず「起承転結」という基本があります。つまり主人公がある目標に向かって行動するのですが、いきなり目標を達成してはおもしろくも何ともありません。その過程にいろんな障害があり、それを乗り超えていくからおもしろいのです。
夢を抱く主人公
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順調に滑り出した夢
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しかし、思わぬ障害や敵の出現
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心が折れそうになる
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救世主・メンターが現れる
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仲間や家族の励ましによって再チャレンジ
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夢の実現、ハッピーエンド
これこそがマンガ、まさにドラマなのです。
マンガにおいて重要な役割が「キャラクター」です。そのキャラクターがどのような性格なのか、なぜその目標を持つに至ったのか、ハンディがありながらなぜ克服できるのかが明確になることで、読み手は自分の事として捉えてくれる、感情移入してくれるわけです。つまり、主人公の人生と自分自身を重ねるわけですね。人間が感動するのはその人の考え方というより
その人が取った行動
にあります。10のきれいな言葉より、1つの具体的な行動です。一見ひ弱な主人公だが困難に直面した時に命を捨てて立ち向かった、ここに共感するわけですね。人は理屈では動かない!はある意味常識。常識を超えたところの行動に共感するわけですね。ここがマンガの真骨頂です。
キャラクターが独り歩きしてくれる
このキャラクターは実在の人物でも架空の人間でも動物でも構いません。このキャラクターと社員、お客様、広く一般の人を絡ませる、つまり人間描写と関連させてこそ、商品やサービスの魅力を引きだせるのです。スタッフの情熱や誠意、思い入れをマンガの登場人物に重ね合わせて表現しましょう。
キャラクターを様々なポーズ、表情、シチュエーションで展開することで、さも実在する人物であるかのような印象を抱くのです。まさに、会社や商品と一体となって、共に成長し続ける「付加価値」と言えます。困ったときのガイド役、お客様サポーターなど、架空の社員としての機能も合わせ持っており、他社との差別化効果も生み出します。
産業・企業マンガ広告においては、以上の3つの特徴を踏まえドラマ仕立てにすることで、いつしか主人公の、その企業のファンになってくれることが可能になります。さあ、あなたも通常の広告では感じえなかった魅力づくりに取り組んでみませんか?