石原良純、長嶋一茂、高嶋ちさ子が自由にトークを展開するテレビ朝日の『ザワつく!金曜日』が高視聴率を保っているとか…。その要因に私は3人のキャラクター性が関係していると思います。我々とは世界がちょっと違うと言っていいような華麗な家庭環境で育った3人。でも、考え方や意見そのものは一般の目線に近いかもしれません。私たちの代弁者のように映るのです。
とにかく遠慮せずズバズバ言いたい放題。昨今のコロナ禍、何となくうっ屈した気分になっている我々が口にできないことをスパッと切ってくれる、その爽快感がウケているのだと思います。
でも、こうしたケンカ越しのトークはこの3人だから許せるという側面があります。
「この人が言うのだから、まあ仕方ないか…」
という認識が見る側に既にあるわけです。そのキャラですでに売っていますからね。
以前、女子プロレスラーが番組で毒舌を吐いて、それが結果としてネットで炎上し自殺に追い込まれたことがありました。これは前提としてそのキャラが視聴者に浸透していなかったのです。
この3人はある意味「尖って」います。今回は、その個性と個性がぶつかり合う「尖る」について考えてみました。
この「尖る」は「オンリーワン」とも重なります。他の人とは違う「個性」。価値観が多様化し、情報で溢れかえっている現代こそ「個性」がクローズアップされています。
「個性」と言えば「オタク」とも関係してきますね。「オタク」と言えば以前は漫画やゲーム、アイドル、コスプレ、鉄道、歴史好きの人を指し、狭い範囲に閉じこもって自分だけの世界にいるネガティブなイメージで捉えられがちでした。
しかし、そのイメージがポジティブに変化してきました。近年では、美容、日曜大工、旅行、歴史、さらには、女性特有の城ガールや山ガール、釣りガールなど多くのジャンルで好意的に捉えられようになってきました。
これはSNSの登場で、オタク同士の交流が容易になったことも要因の一つでしょう。情報網も発達した今では、ごく一般的な人がその道のプロにも負けないくらいの深い知識を持っていることも珍しくありません。(テレビの「マツコの知らない世界」で、こんなことをやっている人がいるのか、と驚かされることも珍しくありません。)
こうした広い意味でのオタクが現代の消費を下支えしているのです。しかも、総じて好きなものに対する消費意欲が高いのです。ここにスポットを当ててみることもビジネスとしてはありです。
さて、この尖りをどう表現するか?についてです。例えば「住宅建築会社」を例に挙げましょう。
「暮らしやすい家」
「家族が仲良くなれる家」
「自然素材をいっぱい使った家」
「あなたの夢を実現」
「安らぎと憩いの空間」
こうした表現は巷にあふれています。人の心に刺さりません。どこか他でも使っていそうだからです。ではこれはどうでしょうか?
「30代で共働き世帯の家族向け、子どもの能力を伸ばす家づくり専門会社」
よりターゲットが明確になり、お客の側もイメージしやすくなったように感じませんか。しかし、これでもちょっと大人しい。思い切って次の表現に変えてみました。
ちょっと極端ですかね。まぁここまではいかなくても
なら現実的に捉えられる可能性がありますね。しかし、これにはしっかりした根拠があってのことです。
●台所と勉強机が隣り合っている
●リビングにトイレに本棚がある
●落ち着いて勉強できる色を使った部屋づくりをしている
●部屋中にナゾ掛けが施してある
などですね。
毎日、大量のチラシが折り込まれてくる新聞やマスメディア、ネット空間の中で目立たせるのは並大抵のことではありません。いかに他社とは異なる表現を用いて「尖らせる」かが大事です。
一方、「尖る」にはバランスの良さも求められます。バランスの良さとは自分自身が尖っているからこそ、周囲の「尖っている」も受け入れられること。自分も主張するが、相手の考えも理解すること。このバランスを保ってこそ、より磨かれてくるのかもしれません。
さて、皆さんの会社で、もっと磨きをかけて世にアピールできるものはありませんか?
その最たるものが私は「社長自身」だと思います。ある意味社長が尖っていなければ創業できなかったでしょうし、維持もできなかったのではないでしょうか。
尖った社長だったから商品が売れた、サービスが評価されたとも言えるのです。出発点は何と言っても
そのものです。しかし、「そんな能力もないし、キャリアもない」とよく言われます。そんなことはありません。掘り下げればどんな人だって一種の「ウリ」があります。掘り下げていないだけです。そうした観点から見たとき、企業のHPの「会社案内」があまりに真面目過ぎます。
堅苦しい写真、社交辞令な挨拶文、通り一遍の業務内容紹介、まことにもったいないです。もっと尖った表現ができるはずです。
では尖らせるにはどうするか。過去の歴史をひも解くのです。その人がどういうキッカケで今の仕事をするようになったのか、どんな失敗を冒し、そしてまた克服したのか、困難な時に助言をくれた人はどんな人だったのか、商品を開発する過程で苦労したことは何だったのか、など掘り下げればいくらでも出てくるはずです。
社員応募してくる人間も社長の「人間性」を見て、一緒に働きたい!と感じてきてくれるかもしれません。どの企業も本当のウリは商品やサービスではなく、そうしたものを生み出した「人」にあるはずです。
皆さんの会社のホームページにはどこか「尖った」匂いが感じられますか?社長や社員の生の姿を打ち出しておられますか?
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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