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第24話:たかが名刺、されど名刺

ビジネスマンとして必須のツールである「名刺」。しかし、コミュニケーションの第一歩であるこのツールを活用しておられないケースが多いことに気づかされます。

今回のコラムは「たかが名刺、されど名刺」名刺の威力について書きました。最後までお読みください。

名刺の役割:心理的ハードルを下げること

販促ツールで最も身近なものと言えば何といっても「名刺」。この名刺交換を通して何となく相手との距離が縮まった経験がありませんか?

何をしている人か?どんな特徴を持っているか?どんな考え方か?など、人は初対面の人に対していわゆる値踏みみたいなことをやっています。もともと人間に備わった防御反応がそうさせるのでしょうか。いきなり親しくなれるというのは稀です。

人間はどうしても失敗を恐れる生き物です。いえ、これは人間だけに限りません。犬や猫だって敵か味方か、品定めをしたのちに打ち解けていきます。

恐らく私たちにはそうしたDNAが埋め込まれているのでしょう。こうした心のバリア(壁)を取っ払ってくれる入口が「名刺」です。

名刺に与えられた役割

第一印象を良くする

です。しかし、どうでしょうか?ほとんどの名刺が社名、肩書、氏名などのみで構成され、その人らしさが表現されていません。実にもったいないことです。

「名刺にこだわらなくてもいい、会って話しさえすればわかってもらえるのだから…」

確かにその通りです。しかし、現代のせわしい世の中にあって初対面でたっぷり時間を割いてくれるでしょうか?また、後日相手が名刺に目を通してくれても印象が薄ければ、アプローチしてくることはあまりないと考えていいでしょう。名刺で、少なくとも人柄の一端だけでもわかってもらえれば次につなげることが可能です。

かく言う私も、以前マンガ名刺で大きな取引につながったことがあります。その頃、8ページ建てのマンガ名刺を使用していたのですが、初対面の経営者と会合で名刺交換をしました。しかし、その時は交換だけで終わりました。

あくる日の朝です。「今朝名刺を整理する中でじっくり名刺を見た。今度新規事業を展開するのでぜひ手伝って欲しい」と連絡が来たのです。

これがキッカケで同社とはかなり高額の取引につながりました。『たかが名刺されど名刺』を私は実感したのです。

印象に残ってこそ

この社長はなぜ目を留めてくれたのか、「面白い!」と感じてくれたからです。会社のキャッチフレーズ、ポリシー、私の経歴などを似顔絵と共にマンガ仕立てで作ってあったのに興味を抱いてくれたわけですね。

似顔絵やマンガ紙面はとにかく目立つのです。第一印象が大事であることは私が今さら言うまでもないでしょう。それほど大きなインパクトがあります。

以前から何度も触れてきたように、人は

「AIDMA」

という流れを経てモノやサービスを買っています。

Attention 「注目」→

Interest 「興味」→

Desire 「欲望」→

Memory 「記憶」→

Action 「行動」

この第一印象に深く関係しているのが最初の「Attention」です。人はまず、最初の「注目する」という行動を経ないことには次に移らないのです。だからこそ初対面の人に渡す名刺が印象に残らないことは致命的なのです。

そして、この名刺は

垂直展開

へとつながります。垂直展開とは、「企業内シェア」の考え方と同じです。つまり、市場が縮小傾向にある中、常に新規のみを追求していくのは限界があります。

そこで、一度取引が始まったら長く、しかも購入してもらえる商品やサービスを多くして、その企業がかける販促費の自社比率を高めていく考え方です。リピート中心のビジネスモデルですね。名刺はその始まりに過ぎません。

オンリーワンのキャッチフレーズ

さて、こうして印象に残る名刺を作る理由は分かったものの、具体的にどうすれば?と迷われる方も多いでしょう。特に印象深く相手に記憶してもらう方法として、勝手にテーマを設定するやり方です。

●●●の△△△△

というキャッチフレーズを作ります。以前テレビでリフォーム前後の過程を取り上げる「快適ビフォー●●●●」という番組がありましたが、その中で匠(建築家)を指して、

・ゆとり住宅の空間トレーナー

・住環境の時代考証人

・空間構成の自由主義者 etc.

というキャッチフレーズが語られていました。では、マンガによる表現を推奨している私の場合はどういうことが考えられるでしょう。

・文字から絵への変換コンダクター

・マンガで「おもしろ文化」をつくるイノベーター

・表現力で社会に元気をもたらす仕事師

・マンガによる販促ワザ仕掛人

などどうでしょう。こうしたキャッチフレーズをつけるだけで何となく違った印象になりませんか?

こうした言葉を考えることのメリットは

自らの立ち位置が明確になる

です。自分は何者なのか?を振り返るひとつの方法です。

 

写真か似顔絵を多用

名刺に写真を多用する例もありますが、願わくは写真とイラストあるいは似顔絵などと使い分けるのも一つの方法です。

「似顔絵」と「顔写真」の違いというと、写真は「ストレート」、似顔絵は「デフォルメ」でしょうか。デフォルメとは「誇張」です。例えば、アゴのラインが角張っている、垂れ目である、えくぼが可愛いなどの特徴をさらに際立たせることで、相手の持つ印象が変わってきます。

「あ~、あの特徴がある人ね」

という具合に。人間の識別の第一歩が顔であるだけに、特徴的に描くことがより好感度を増すことになります。また、似顔絵はワンパターンではなく、泣き顔、笑い顔、怒り顔、落ち込み顔などさまざまなパターンを組み合わせることによってグンと親しみが湧いてきます。より、その人に親近感を持つことになるでしょう。

また、このように視覚だけではなく、名刺に香りをつける、手触りに工夫を凝らすなど、視覚・嗅覚・触覚など五感を意識した名刺にすることで個性化が図れます。

皆さんの会社では名刺を自分の分身として、会社の履歴書として位置付けておられますか?

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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