今回のシリーズは、“マンガ広報クリニック”と題して現在出回っている出版物や広報誌の添削もどきをやってみたいと思います。
今回取り上げるのは「鹿児島県警」さん。公の機関ですから私の勝手な指摘も広~い心でお許しいただけると思い書かせていただきました。ご了承ください。
さて、最近、時代を反映してか漫画を取り入れた広告や出版物が増えてきました。(当社としてはうれしいことですが…)しかし、私の目から見て
事例がまだまだ多いように思います。確かに見た目は漫画なのですが、あくまでもそれは漫画の体裁をした“漫画もどき”なのです。AさんとBさんが延々会話していく、しかもいきなり商品の説明から入るという具合に。
これでは、営業マンの「これいいですよ!」の売り込みと同じ。つまり、人は
という現実があるのです。この県警さんのチラシ、比較的良くできていると思いますが、惜しい点があります。
たぶん、これはスペースの問題もあったのでしょうが、1つのテーマを4コマの中で無理に収めた感があります。
例えば「警察官を騙ったオレオレ詐欺」編の
犯人「キャッシュカードと暗証番号のメモをお渡しください」
妻「警察の捜査だから仕方ないか…」
のくだり。ちょっと飛躍しすぎかもしれません。今どき犯人の言葉に即座に「わかりました」という反応をするかどうかです。これだけ振り込め詐欺被害のニュースが出回っている中で消費者も警戒しています。それだけにちょっと展開が早すぎます。
詐欺犯はそもそも我々の裏をかくことに命を懸けていると言っても言い過ぎではありません。こういう場合、妻と犯人のやり取りの中で、徐々に相手のペースにはまっていく様子が描ければ、読み手としては「こんな手もあったのか」と自分事として受け止めてくれる可能性があります。
漫画の特徴は何と言っても
漫画の展開に山と谷をつくることによって臨場感、「ひょっとして私も騙されるかも…」という感情が出てきます。
単にAさんとBさんの会話が延々続くようでは読み手も飽きが来てしまいます。飽きが来るということは
「頭の中に残っていない!」
のです。このチラシ、そうした観点で見ると「警察官を騙ったオレオレ詐欺」編を表面全部使って分厚くした方が良さそうです。表面でまず注目、興味を持たせたうえで裏面に進んでもらう。この流れがスムーズでしょう。
そして裏面ではイラストと説明文を組み合わせて表現すれば、興味が高まっていますので細かいところまで読んでくれる可能性は高まります。
広告づくりはこのように、人の心の流れに沿って制作していくことが肝要です。皆さんもご参考になさってください
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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