今回の「漫画化家は見た!シリーズ」は最近読んだマンガの中から私「うなぎ★のぼる」がオススメする本の紹介です。
マンガプロジェクト鹿児島が目指すのは
これは、地域の産業が元気になればなるほど地域は活性化するとの信念からこのことを言い続けています。世の中のすべての根っこにあるのは
この経済が回っていかない限り、福祉も医療も道路などのインフラも教育も成り立ちません。そうした観点から私たちは産業マンガで鹿児島を元気にしていく!をモットーとしているのです。
さて、今回紹介する「GOOD JOB」は私たちのモットーと深く関係する「仕事」に焦点を当てたマンガです。作者は大ベテラン「本宮ひろ志」先生。本宮さんといえば、私が若い頃に出会った「男一匹ガキ大将」のほか「俺の空」「サラリーマン金太郎」がつとに有名で、硬派な感じの作風が大好きです。
このGOOD JOBは5巻からなっています。
「全ての働く大人達に贈る職業オムニバスストーリー!」と名付けられた本シリーズ、今回はその第1巻を読みました。
第1巻では高校時代にいじめられていた過去を持つ男が、法を武器に脱税を取り締まっていく『税務署員編』と、元ヤクザの幹部だった男が運送会社で真面目に働き、第二の人生を歩む『宅配便配達員編』。突如3億円を手に入れた日雇い労働者の男が、その事をきっかけに人生を変えてゆく『三日と仕事が続かない男編』の3編が収められています。
このマンガを読む過程で私は何度も共感を覚えました。宅配ドライバーが何度訪ねても不在で最後は「在宅の時に来なかったお前が悪い」と言われ切れてしまい、結局会社を辞める羽目になったシーンもそうでした。もちろん客商売ですからお客様に不便をかけてはいけないのは当然です。しかし、他方ではモラルが守られないケースが世の中に増えているのも事実。こうした現実を直視する必要があることをかねがね感じていた私だからこそ共感できたと思うのです。
他にも私自身が何度も涙したシーンがありました。なぜ、私は涙したのか?それは
主人公と自分がダブって見えた
からです。小さい頃いじめられっ子だった私と主人公が重なったのです。マンガは以前なら低俗な読み物として扱われた時代がありましたが、今や立派なコンテンツとして多くの世代に支持されています。マンガが人の心を動かすのその最大の理由が
にあります。人はその歩んできた道、価値観、生き方、考え方に共鳴する生き物です。つまり、それらの要素が凝縮されたものがストーリー、つまり「物語」です。この「GOOD JOB」の中に出てくる主人公の生き方に私はついつい自分を重ね合わせて感情を揺さぶられてしまったのです。
ひょっとしたらこのマンガを読んで税理士を目指す人、宅配便のドライバーを目指す人が現れるかもしれません。いや、そうはならないにしても、そうした職業の人たちを理解する、尊敬する、あるいは自分の仕事の素晴らしさに気づくことにつながる可能性もあります。
「仕事っていいなぁ」という思いに駆られる本書、ぜひ皆さんにもおススメしたいです。