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漫画化家道コラム
第32話:聞き手の頭の中に絵を描く

こちらの意図したことをキチンと伝えるには料理や研究などと同じで、底辺に共通のスキル、レシピが存在すると基本編でお伝えしました。今回のコラムでは「テクニック編」の第2回目をお届けいたします。どうぞ気軽にお読みください。

君の話は抽象的でわかりにくい

そんな指摘を受けたことはありませんか?何を隠そう、この私も20代の頃はそう言われていました。特に印象に残っているのは、広告代理店に勤務していた頃、社員募集の面接官を務めたことがあります。自分自身では上手くできたつもりで意気揚々としていたのですが、上司からコテンパンに怒られました。

自分だけがしゃべり過ぎている、話が一般論で相手に通じていない

ショックでした。自分ではうまいつもりだっただけに。しかし、それから俄然話し方の研究を始めて少しはましになっていきました。

まあそんな調子なのですから誰でも訓練次第でいくらでも上達します。それはともかく、抽象的な話は聞き手が眠くなる、理解するのに苦労するという欠点があります。つまらないスピーチほど退屈なものはないと言われますがそれはなぜなのでしょうか?抽象的な話は、

聞き手が頭の中に絵を描けない

のです。何を言いたいのか、どんな場面の話をしているのか、誰に向けての話なのかがサッパリ伝わってこないのです。では、絵を描くにはどうするか、それには大きなポイントがあります。

絵で語ること

数字で語ること

です。

わかりやすい話は絵で語る

「絵で語る」とは、具体的なモノやコトを挟んで語ることです。そのヒントとして

大分類、中分類、小分類

に分けて考えてみましょう。野菜を例にとります。「野菜」そのものは大分類、「葉物野菜」「根菜」は中分類、「白菜」「大根」「キャベツ」「トマト」「カボチャ」は小分類です。例えば大分類で話すとこうなります。

「偏食傾向が進んで、生活習慣病の人が増えています。今こそバランスの取れた食生活が大事です。野菜をふんだんにとって健康な体を創りましょう」

しかし、こう言われてもピンときません。なぜなら聞き手の頭の中に浮かぶイメージがバラバラなのでハッキリ絵が描けないのです。ある人はホウレン草を思い浮かべ、ある人は大根、ある人はトマトかもしれません。いや、野菜という観念さえ吹っ飛んでいるかもしれません。

これを小分類で語ると、こうなります。

「栄養バランスのとれた食事には3つの色が関係しています。ごはん、パン、麺類などの主食(糖質)の黄色、肉、魚、卵などのメインのおかず(たんぱく質)の赤色、白菜や大根、ホウレン草などの野菜や海藻などの副菜、汁物の緑色、これをバランスよくとることが大事なのです。」

さあ、いかがでしょう。ちょっと文章は長くなってしまいましたが、頭の中にすべての食材が絵として浮かんできたのではないですか。

このように伝えたいことがうまく伝わらない人は大分類で語っている傾向が強いのです。

数字で語るとより具体性が増す

あと、わかりやすい話と言えば、数字で語ることです。

お店の店員に言われました。「ちょっとお待ちください」

さあ、あなたにとってのこの「ちょっと」とは1分でしょうか、5分でしょうか、それとも30分でしょうか?せっかちな人は5分待たされただけでもカンカンかもしれません。それほど言葉の理解には個人差があります。

しかし、ここに数字を挟むとあら不思議。せっかちな人でもゆったりとした気分で待ってくれます。計算できます。他の用事を済ませられます。数字で語るとイメージしやすくなるのですね。不思議な数字と言えば、

健康飲料のCMで「タウリン1000ミリグラム配合」というのがありますね。でもこれ、実は1グラムなんですね。でも、1000ミリグラムと言われた方がたくさん入っているように感じませんか?ほかにもこんなのがあります。

  • 一日わずか300円、タバコ1箱分ですよ!

ですが、よくよく考えてみると実は1ヶ月に換算して9,000円、年間だったら10万8千円,10年間では108万円になります。

  • 「50%OFF」より「もう1本タダ」

こちらの方が得した気分になりませんか?

  • 新商品、他の銀行の金利0.2%を当行なら0.6%

と表示するより「金利3倍」がインパクトありますね

条件はまったく同じです。数字をちょっとひねるだけでお得感が出ますね。皆さんの表現でもこのように数字をなるだけ使う工夫をしてみてください。

脅す、切迫感を強調する

分かりやすく伝える、次のポイントは「脅す、切迫感を強調する」です。ちょっとあおるような雰囲気がありますが、それも程度次第。相手に本当に大切なことをわかってもらうためにもうまく活用したいテクニックです。

基本編のところでも触れましたが、人は

「得られるメリット」よりも「避けられる損失」に関心が高い

と申し上げました。今度のコロナに関してもワクチンが早期開発され有効作用が9割以上になると報道されていました。

しかし、その一方でちょっと強めの副作用、アレルギーが出たとも言われています。こうした時に、まだワクチンは安全ではないのでは・・・

という恐れが出るのです。副作用の発生率は微々たるものであるにもかかわらずです。どんな薬だろうと、医療だろうとこの世の中に100%はあり得ません。しかし、人はリスクの方に目が向きがちなのです。

こうした特性を逆手にとって、切迫感を強調するという手法です。例えば、

 

  • この資格を持っていないと世の中渡れない
  • この技術を身に付けないと生涯非正規社員となってしまう
  • 1日30分の怠け心がガンを招く
  • 10年後の年金、あなたは今の給料で乗り切れるか?
  • 体温が1℃下がると免疫力は30%下がる
  • ○○な食事をしていると5年早くあなたはおばあちゃんになる・・・

 

などです。こうしたデメリットをクローズアップさせて、こうした目に遭わないための解決策としてあなたの商品やサービスを提案するのです。

あなたの商品やサービスはきっとお客様の

不便、不満、不足、不利を解決するために存在している

はずです。それに気づいてもらうためのテクニックです。しかし、これもやり過ぎると不安、煽り商法につながりますので用心して使う必要があます。

さて、どうやったらうまく伝わるかについての今回のコラムはいかがでしたか?次回もこのテーマについてお話しします。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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