こちらの意図したことをキチンと伝えるには料理や研究などと同じで、底辺に共通のスキル、レシピが存在すると基本編でお伝えしました。今回のコラムでは「テクニック編」の第3回目として「ことば遊び」にこだわってみます。どうぞ気軽にお読みください。
私は、「親父ギャグ(ダジャレ)こそが、世の中を救う!」と信じて疑わないのですが、親父の発するギャグは寒い!とか化石とか、いろいろ言われ肩身の狭い思いがしてきた方も多かったのではないでしょうか?
ところがどっこい、コピーライティングの世界ではこの親父ギャグこそがチャンピオンなのです。その理由が、親父ギャグあるいはダジャレから生まれたヒット商品が山ほどあるからです。
皆さんが耳にしたことがあるかもしれませんが、福岡県うきは市に
「筑水キャニコム」
という産業用運搬車・草刈り機メーカーがあります。この会社はおもしろいネーミングをつくることで有名な会社で、これまでに数々のヒット商品を生み出してきました。
「草刈機まさお(乗用草刈機)」
「ブッシュカッタージョージ(立ち乗り式大型草刈機)」
「三輪駆動静香(電動アシスト三輪車)
「伝導よしみ(運搬カー)」
などなど、名前を聞いただけで思わず笑みがこぼれる商品群です。日刊工業新聞のネーミング大賞を10年以上連続で受賞しており、社員数は300名近くで年商は60億以上を誇る優良企業です。
ここまで事業が発展した秘密にはネーミングがあると会長は自信たっぷりに語っておられます。ネーミングをテーマにした著書もあるほどです。たかが名前、されど名前ですね。そのヒントを探るとほとんどが芸能人の名前をもじったダジャレやギャグであることがわかります。
あと、商品名を変えたことで爆発的に売れた事例が「通勤快足」です。それまでは、モーニングフレッシュという名前でしたがこの名前に代えて靴下が10倍近い伸びを見せたと聞いたことがあります。
あと、ネーミングと言えば、小林製薬も有名ですね。ガスピタン、ナイシトール、のどヌール、トイレその後に、ボーコレンなど、その名前を聞いただけで何の商品かわかります。このように人の頭の中にしっかりこびりつくのがこうしたダジャレ系の名前なのです。
では、なぜこうしたネーミングはヒットに結び付くのでしょう。
面白いネーミングがヒットにつながるのは、現代のあまりにも増え過ぎた情報が関係しています。昔、テレビやラジオ、新聞ぐらいしかなかった時代からインターネットの普及により多くの情報を目に耳にするようになったことからかなり目立たないとそもそも関心を向けてもらえない現実があります。その突破口になるのが
というファクターなのです。しかし、その「面白い!」を常にテレビCMをはじめとした広告で表現できればいいのですが、広告予算をそもそも持たない中小零細企業では無理な話です。
そこで商品自体に面白いネーミングを加えるのです。ネーミングとは日本人が得意な「コトバ遊び」につながります。もともと日本人は言葉遊びに長けている人種と言えます。
俳句、川柳、和歌、短歌、狂句、都々逸、講談、漫談、落語、漫才etc.
日本人はユーモア精神に劣るとも言われますが、それは奥ゆかしさが現れているだけで、四季の移り変わりに恵まれたに日本人はとても言葉を大事にする人種なのです。
その歴史的財産と言ってもいい言葉を使って新しい価値観をいっぱい作ってきました。その一つが私は「ダジャレ」だと思っています。このダジャレと同じ流れのものに「語呂合わせ」があります。自社の電話番号、携帯の番号に利用しているケースをよく見かけますね。
私は特に最近、車のナンバーに語呂合わせや縁起を担いだ番号を利用している人が増えて来たなぁという印象を強くしています。よく見る車のナンバーに
1122 →(いい夫婦、いやダンナが不倫して奥さんへの詫びのため?)
1188 →(いい母、いいパパ)
777 →(ラッキーにあやかりたい)
・・・1 →(何事も一番にならなきゃ気がすまない?)
8932 →(暴力団関係者(笑))
3939 →(感謝感謝で暮らす人)
があります。1999年に車のナンバープレートの自由選択制度がスタートしたことから利用する人が相当増えてきたように思います。この自由選択性のナンバーを見分ける方法は地区名、例えば鹿児島の隣にある3桁の数字です。私の車のナンバー「鹿児島536 ろ 17-17」の「530」の真ん中の数字が3~9が選択ナンバーになります。
以前は自動的に割り当てられるナンバーと選択ナンバーの比率は9:1ぐらいでしたが、最近では6:4に近いものがあり、人々の意識が変わってきたように思います。
この語呂合わせ、ビジネスに活用しない手はありません。覚えてもらいやすい番号を探し活用しましょう。代表的な例として
4129 →(肉屋)
4103 →(良いお産、産婦人科)
1954 →(引越センター)
8148 →(歯医者さん)
4618 →(白い歯)
6480 →(虫歯ゼロ)
4949 →(葬儀会社)
0943 →(お悔やみ、葬儀会社)
8783 →(花屋)
8929 →(焼き肉店)
8198 →(バイクショップ)
7830 →(悩みゼロ、心療内科)
0268 →(銭湯)
0348 →(寿司店)
3729 →(スナック) etc.
などがありますね。ちなみにマンガプロジェクトの電話番号の末尾は5329(コミック)です。車のナンバーも次期車検時には5329に変更の予定です。銭湯に行った際も5,3,2,9の番号の下駄箱やロッカーを利用します。湯船につかるのも53秒と29秒を繰り返します。それほどまでにこだわることが私の意識の中に定着すると思うからです。語呂合わせ探せばいくらもあるはずです。
しかし、ただ、番号をつけるだけでは意味がありません。その電話番号なりを看板に大書きする、名刺に大きく載せる、ホームページのドメインにも使うなど関連性を持たせる必要があります。
お客が企業に対して抱くイメージはたった一つの情報発信源からではありません。看板、名刺、ホームページ、チラシ、パンフレット、テレビCMといったツールはもちろんのこと、店頭に立つ社員、お客を訪問する営業マン、電話応対に至るまですべてにおいて一貫性が保たれていなければ、望むイメージは構築できません。
だからこそ、その企業にとって経営理念、方針、事業コンセプトなどが明確に示され、どこから切っても同じ答えが出てくるくらいに社内に浸透させる必要があるわけです。
あと、こうしたネーミングは商標登録されることをおすすめします。権利の保護の観点からあなたの企業の財産として大切に守りましょう。
さて、どうやったらうまく伝わるかについてのテーマ、今回のコラムはいかがでしたか? 今回は言葉遊びの中の「語呂合わせ」について書きましたが、近いうちにネーミングのノウハウについて詳しく書こうと思っています。楽しみにお待ちください。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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