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漫画化家道コラム
第38話:たかが名刺、されど名刺

今回は、ビジネスマンにとって最も身近な存在の名刺について取り上げます。もっとも身近だからこそ大事にして欲しいのですが、いささか軽んじられているような気がしてなりません。名刺こそ活かして使えば最高のツールとなるのです。

世の中で使われている「名刺」のほとんどは会社から与えられたもので、会社名、肩書き、連絡先、取扱商品などが書かれていますが、それ以上でもそれ以下でもありません。会社から渡されたからただ何となく使っているだけが現状です。

名刺の役割「関係づくりの第一歩」

確かに名刺は「どこの誰で何をやっていて、場所はどこにあって・・・」という基本情報が載っていれば最低限の条件はクリアしています。しかし、名刺は

初めて会う人との関係づくりの第一歩

です。ここにこだわらずしてどこにこだわるのでしょう。名刺がその後の人間関係づくりに大きく関わってくるのです。

私は以前、名刺一枚で「ン百万円」の仕事をいただいたことがあります。ある異業種交流会で名刺交換をしました。その場では何らアクションはなかったのですが、明朝電話が入りました。

新規事業を始める。ついてはPRに力を入れたいので詳しい話を聞きたい

というものでした。たまたま新規事業を始めるというタイミングもあったのでしょうが、名刺がそのキッカケだったことは間違いありません。私の名刺はマンガを取り入れ、さらに私のプロフィールなどを細かに書き、少しでも興味をそそるような内容にしてありました。この時、たかが名刺、されど名刺を痛感しました。

私が名刺の効用を強く訴えれば訴えるほど、

「わずらわしい」

「売込みっぽい」

という声を耳にします。「名刺は単なるあいさつ代わりのものだからそんなに凝る必要はない。次に会う機会もあるはずだから普通のものでよいのでは?」。とおっしゃる方も多くいらっしゃいます。

しかし、よく考えてみましょう。人間第一印象が肝心と言われます。もちろん、名刺だけが良くて、容姿、態度が悪ければ逆効果になりかねませんが、そもそも普通の名刺で相手と話が盛り上がるでしょうか?名刺一枚に心を込めてこそ、相手が興味を抱き、もう少し話をしたいという気になるのではないでしょうか?

すべての業種でこだわった名刺を持つ必要はないかもしれませんが、「クリエイティブ」を真骨頂としておられるなら必須です。なぜなら

「神は細部に宿る」

からです。名刺一枚、ファッション、持ち物、すべてにおいて「こだわり」が見えるからこそ仕事を依頼したくなるはず。クリエイティブな仕事をしている側、そうしたところに発注する側、両方においてそのような感性が求められます。

こうしたこだわった名刺を持つ必要のない人は、もともと知名度の高い人です。これは何をしている人かすでに前提条件がそろっているからです。(ただ、有名人でも内容にはこだわっていなくとも、紙質、フォントにはこだわっています。)

しかし、そのような人はごくわずかです。私自身もいろんなイベントやメディア登場によって、そこそこの知名度があるのではと思ったこともありました。しかし、とんでもなかったのです。世の中の99.9%の社長が私のことをご存知ありませんでした。

これが現実です。ですから皆さんも大いに手段としての名刺にこだわってください。

また、そもそも「名刺なんか簡単でいいよ、職業と名前が分かればいいよ!」とおっしゃる方とは少なくとも「クリエイティブ」な分野で交わることはないかも…と割り切ってみることも必要です。

次への動機づけとセットで

名刺の役割をもう少し分解してみましょう。名刺一本でいきなり仕事が舞い込んでくるのは理想ですが、事実はそう簡単ではありません。名刺は、その人なりの一端を感じ取っていただくためのツールですが、名刺一本で完結するわけではありません。

ただ、名刺交換の際印象付けられれば、その方は名刺に書かれたHPやブログ、フェイスブック、メルマガなどにアクセスしてもらえる可能性が高まります。ですから個性的な名刺とSNSツールなどはセットになっておく必要があります。

名刺はキッカケづくり、信頼関係を深めていくのは「SNSなどのツール」と割り切る必要があります。また、信頼関係というのは、その人の言葉ではなく、その人の取った行動に現れます。ということはHPやブログを通じてあなたの日々の行動を発信し続ける必要があります。このことを通じてつぶさにあなたのことに関心を持ってもらいやがてそれが信頼関係へとつながっていきます。

また、こうした関係づくりを進める中で気をつけたいのが情報発信ツールでは決して「売り込み臭さ」を出さず、有益な情報発信に徹することです。

売り込みはご法度

情報発信のポイントは自分自身の仕事を通じて得たノウハウ、有益な情報を提供し続けることです。できれば職種に関係なくすべての人に役立つ普遍的な情報が望ましいと言えますが、しかし、いささかそれは無理があるかもしれません。しかし、どんな職種・業種・立場だろうと自らが仕事を通じて得たノウハウはどの世界にも通用するはずです。

かく言う私自身も、このコラムを書き始めて1年以上を経過しました。このコラムをどれほどの人が読み活用くださっているのか把握しておりませんが、(数値化するのが今後の課題です。)先日はメルマガ、コラムを読んだ方から直接お電話をいただきました。

ある業界の事例をもとに記事にしたのですが、同じ業界に属する方から私たちの業界を取り上げてくれてありがとう。という内容でした。

「あ~しっかり見てくださっているのだなあ」

と思わず感激しました。要は継続こそ力なのですね。

さて、今回は「名刺」について考えてきました。人間関係づくりのもっとも初歩的なツール。こうした小さなものにも精魂傾ける手を抜かない。大事なことですね。人間関係づくりは一朝一夕にはいきません。あくまでもコツコツ積み上げるしかありません。そうした観点から名刺による関係性づくりを再点検なさってみてはいかがでしょうか?

今回のコラム、最後までお読みいただきありがとうございました。

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