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第41話:プロフィールで共感を得る法

20年前、30年前と比べて情報の増加量が10倍とも20倍とも言われる現代。ある調査では60倍というデータもあるほど。こんな時代なればこそ、私たちは短時間で情報を処理する必要性が高まっています。なぜなら私たちの情報処理能力は10%ほどしか向上していないからです。(平成23年情報通信政策研究所情報量調査より)

となれば、私たちは「関係がない、興味がない」と感じた瞬間に情報をシャットアウトしてしまいます。見る、読むひまがないのです。

その観点から、いかに消費者・生活者の関心を惹き付けるかに全精力を注がなければなりません。あなたやあなたの会社を紹介する言葉も選りすぐったものにする必要があります。ご自身の名刺やパンフレット、ホームページは読み手に納得してもらえる、関心を持ってもらえる情報になっているでしょうか?

残念ながらホームページの自己紹介、企業紹介は通り一遍の何の変哲もない文章になっている例が多くもったいないいと言わざるを得ません。

自己紹介は次の3点セットで構成されます。

  • 肩書(職業)
  • キャッチフレーズ
  • プロフィール(略歴)

今回のコラムではこのうち、プロフィール(略歴)について考えます。実は、このプロフィール次第で読み手の心を動かせるかどうかの分岐点となるのです。

素のままの人間性を語る

「プロフィール」の語源は、ラテン語で「輪郭を描く」「側面を描く」を意味する言葉のようです。古代ギリシア・ローマ時代には強い権力を持った人物の業績を誇示するために横顔を模したコインが鋳造されていましたが、この「輪郭」や「側面」といった言葉が「経歴」を表すようになったと言われています。

横顔こそがその人物評につながるわけですね。ふだん私たちがイメージする「横顔」とは、かしこまった場ではなくフランクな場、プライベートな場、気の許せる人たちの輪の中で見せる顔でしょう。こうした場面で見せる顔こそが「ホンモノの横顔」です。

では、その横顔をどのように表現していくのか具体的に見ていきましょう。ある企業の社長自身のプロフィールを参考に考えてみます。

氏名:●●●●(○○○○ ○○○○)

略歴:昭和●●年●月●●●県●●市生まれ(○○歳)

○○高校を卒業後、

平成●年●月 ○○○○大学国際関係学部 卒業
平成●年●月 ○○の専門商社である株式会社○○○○ 入社、その後営業部門での実績が認められ課長を拝命
平成●年 同社営業部長を務める
平成●年 ○○業を営むB社にヘッドハンティングされ転職し、その後同社でのノウハウを活かして○○を専門とする○○○○株式会社を設立。現在に至る

趣味:テニス、野球、ジョギング、登山

特技:手先が器用でたいていのものは自分で修理してしまう

好きな言葉:神は細部に宿る、感謝に勝る名言なし

以上です。このプロフィールでこの経営者の魅力を十分理解できたでしょうか?横顔がお判りになったでしょうか?人となりがいくらかはわかるのですが、素の人間性はわかりませんね。これではなかなか共感は得られないでしょう。

次は私のプロフィールをご紹介します。(だいぶ文章量が多いため省略してありますが…)

【プロフィール】

絵ヂカラ活用コンサルタント 漫画化家(商標登録 第5679895号)
有限会社わくわくコーポレーション代表取締役
NPO法人マンガプロジェクト鹿児島理事長
1954年鹿児島県薩摩川内市生まれ、鹿児島市在住。

企業や団体のブランド力、社内コミュニケーション力強化をサポートする広告・広報の専門家。広告・広報制作歴35年。現在、『社員の伝える力を90日で倍増させる』をモットーに、漫画・イラストの活用をはじめ、コトバの専門家として企業や団体のアドバイスを行っている。特にマンガ広告の世界では、100件近くの実績があり鹿児島においては草分け的な存在。

高校卒業後、観光施設の営繕関係(技術職)に就職。しかし、国家資格の実技試験に3年続けて不合格だったこともあり元来の不器用さを痛感。23歳の時に好きなこと、得意なことは何かを必死に探し求めていたさなか、宣伝・広告要員募集広告が目に留まり、めでたく転職を果たす。県内のスーパーマーケットの宣伝部を皮切りに、広告の世界に飛び込んだ。宣伝部ではチラシ作りや看板のデザイン、店内PОP、装飾の仕事に従事し、これが天職だと思うに至った。

その後、地場では中堅どころの広告代理店に転職。同社では主に交通広告、印刷媒体の企画営業を経験し、たびたび成績上位に輝く。その実績が買われ27歳の時に営業課長に抜擢される。営業の世界に飛び込んだのは、与えられた仕事を机の上でこなすだけではなく、顧客と折衝することで人間性が磨かれるとの信念からだった。

その後31歳で独立し広告制作会社を開業。それ以来、35年の実績を積み重ねる。独立開業のキッカケは、勤めていた会社の社長と衝突し媒体売り、物売りから顧客のニーズに応え、業績アップに貢献する仕事がしたい、コンサルタント的な存在になりたいとの思いからだった。

しかし、独立当初は見通しの甘さから顧客獲得、商品開発に苦戦し、貯えがあっという間に底をつき、それを心配した妻が働き始めるという結果になった。

実は、私のプロフィールはこの後もかなり続きます。

◆オンリーワンを目指して業界を絞り込んだこと
◆その業界で先駆者となり、No.1と言えるほどの実績を挙げたこと
◆しかし、その後さらなる試練が待ち受けていたこと
◆マンガプロジェクト鹿児島を立ち上げたキッカケ
◆マンガプロジェクト鹿児島の存在意義
◆将来へのビジョン

など、余すことなく経験談を書き連ねています。ここまで私の文章をごらんになり

「そんな長い文章、誰も読まないよ」

と感じられた方もいらっしゃるでしょう。そうです。ほとんどの人が最後まで読んでくれないかもしれません。しかし、ホームページの冒頭に「読んでみたい!」と思わせるフック(引き)があれば先に進んでくれる可能性はあります。100人中1人でよいのです。その一人がしっかり頭に刻み込んでくれ、口コミにつながれば良いのです。

 

プロフィールの目的は共感を得ること

ここまで事例を挙げてプロフィールの大切さを述べてきましたが、最後にキチンとまとめてみましょう。プロフィールの作り方の基本は「基本情報」「仕事情報」「略歴」「理念・ビジョン」の4つになります。一つずつ解説します。

  • 基本情報
    年齢、出身地、出身校、現在の勤務先、役職など基本的な事柄を紹介します。また、出身校や出身地などが同じだったりするだけで親近感が湧くものです。
  • 仕事情報
    企業概要、主な取扱商品・サービスなどお仕事内容などを紹介します。
  • これまでの歩み
    子ども時代の想い出や趣味、特技なども紹介することも有益です。そしてどのような企業での勤務を経て現在にたどり着いたのか、どんな資格を得たのかなどこれまで積み重ねた実績を紹介します。この項目にうれしかったこと、つらかったことなど成功談、苦労談などストーリー性を盛り込むことで俄然魅力的なプロフィールに変身します。
  • 理念やビジョン
    自社や自身の目指す方向性、考え方、将来達成したいことなどビジョンを書きます。

以上、プロフィールの要素をお伝えしましたが、ポイントは

 

共感

です。人はその人の考え方ではなく、その人の取った行動に共鳴するという言葉があるように生きざまに共感するものです。これを伝えるのに最も適したのがホームページでしょう。ぜひ、皆さんもファンづくりの一つのピースに「プロフィール」を組み込んでみてはいかがでしょう。

今回のコラム、最後までお読みいただきありがとうございました。

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