写真はエムアップホールディングス様のページよりお借りしております。(ゆるキャラグランプリファイナルの模様です。)
https://m-upholdings.co.jp/
企業のファンを増やすには「製品そのもの」だけではなく、作った人、売る人自身の生い立ちや生きざま、苦労、失敗談などの過程をどう見せるかも重要です。なぜならここがないと
からです。よく言われる通り、人間は「感情の動物」です。理屈や数字だけで動いてくれるならこんなに簡単なことはありません。
スタッフの商品に対する思い入れや情熱が必要ですね。しかし、こうしたものを文字で表現しようとするとかなりの量が必要ですし、文章力も問われます。何より、長い文章を読ませるにはかなりのテクニックが要求されます。
そうした通常の広告ではアピールしにくい部分に光を当てるツールとして、私はマンガ広告を扱い始めました。マンガを通して「感情」を伝えることが可能と考えたからです。今回のコラムは、その中でも「キャラクター」の役割について考えてみたいと思います。
キャラクターを通して「感情」を伝える。そして共感していただく。その方法を探ってみましょう。
~20倍、30倍の情報で頭はパンク状態~
現代はその調査手法によっても異なりますが、インターネット草創期の頃と比較して情報量が20倍、30倍とも100倍とも言われます。
こうした時代にあって、われわれ現代人は情報洪水に巻き込まれ、情報に振り回されているといっても過言ではありません。こうした状況下、企業はいかにコストを掛けず自社のブランド化を図る、知名度をアップさせることに躍起になってきました。
そんな中で注目されたのが
でした。企業とは多少異なる視点ではありますが、地域の自治体で爆発的に増えた「ゆるキャラ」があります。代表的なイベントとして「ゆるキャラグランプリ」も一世を風靡しました。しかし、その「ゆるキャラ」で今も活躍しているのは数えるほどになってしまいました。
「ゆるキャラ」でもっともインパクトを与えたのは熊本県の「くまモン」でしょう。本来は県の公式キャラクターですが、商標使用が原則無料であることも手伝って企業でも広く用いられました。
この「くまモン」が今でも活躍しているのは、他にない特徴があったからでしょうか、特別可愛かったからでしょうか、珍しかったからでしょうか?そうではありません。
からです。
~目的のあいまいさが招いたブーム終えん~
右を見ても左を見ても「ゆるきゃら」が続々誕生した時代。ホンの10数年前のことです。しかし、一部を除いてほとんどが忘れられてしまったのですが、その分岐点は何だったのでしょう。多くの自治体では
ことにあります。隣町が作ったから我が町も作らなければ…というノリだったように思います。一方、「くまモン」は県の営業部長として様々な仕掛けを施し、地道にそれこそ一歩一歩戦略的な展開を図っていきました。
無名だった当初は正体を隠し、関西エリアを徘徊させるなどして、見つけた人がSNSで報告するようなキャンペーン施策や吉本新喜劇への登場、あるいは「赤いほっぺた紛失事件」といったニュース性の演出等もあれこれ行われました。
ひるがえって、企業におけるキャラクター活用はどれほど進んでいるのでしょう。多くは食品メーカーや玩具メーカーなど大手企業のものをよく目にします。
一方、中小企業では予算的な面もあって積極的に活用している事例は少ない感じがします。あったとしても申し訳ない程度に印刷物や看板に使われているぐらいでマーケティング上に位置付けられているのはごく一部というのが現状です。
しかし、このキャラクターは活かし方によっては競合他社との差別化を図る絶好の手法になり得ます。
~共感を生むことで一生涯のファンが~
キャラクター成功の一丁目一番地は?と問われたら
と私は答えます。設定?と疑問を持たれると思いますが、一言で表すならば
ということです。つまり、
・生まれた日
・生まれたところ
・家族構成
・血液型
・性格
・考え方
・好物
・趣味
・嫌いなもの
・得意なこと、苦手なもの
・好きな異性のタイプ
などを決めることです。
「えっ、これってまさに一人の人間じゃん」
そうです。その通りです。一人の人間のごとくです。言ってみれば社長や会社そのものの分身としての扱いです。自社の経営理念や方向性をあなたに代わって体現してくれる存在なのです。ここに照準を合わさず、ただ可愛いから…というお供え物的な感覚で作るから、何にも力を発揮してくれないのです。
さて、ここで一つ質問です。人が感動するのはどんな時でしょう?
にあるのではないでしょうか?確かに演説などの言葉で心動かされるときはありますが、しゃべった本人が具体的な行動を起こしていなければ共感を覚えることはありません。まさにどのような行動を起こしたかに掛かっています。
こうしたことを、社長がその都度人に伝えていくのは並大抵ではありません。時間もありません。そこで「キャラクター」に代弁をさせる、代役を務めてもらうのです。
キャラクターは「マーク」ではありません。様々なポーズ、表情、シチュエーションで展開できてこそ意味のあるものであり、生きているのです。擬人化がポイントです。
~キャラクターを活かす日常の地味な活動~
最後に具体的な展開法についてですが、中小企業にとっては宣伝広告、販促費も潤沢にあるわけではないでしょう。そこで活用したいのがSNSです。予算の限られた中小企業にピッタリの方法です。
ミニサイズのキャラクターのぬいぐるみをつくり、商品やサービスのこだわり、あるいは素人が知りえない隠れた秘密、あるいは働く人たちの姿をこのキャラクターがレポートするのです。
こうすることであら不思議、売り込み感がググっと下がるのです。社長や社員が言うと売込みっぽくなることも、キャラクターなら親しみやすさがにじみ出ているのですんなりと受け入れてもらいやすいのです。
また、日々の暮らしの中で疑問に感じたこと、気にいったこと、うれしかったこと、悲しかったことなどをキャラクターの目線を通して発信していく。ここが共感を呼ぶポイントです。
こんな方法もあります。社長でもいいですし、社員でもいいですが昼食に出掛けたとします。その際、料理や店の雰囲気等をSNSで投稿される方も多いと思いますが、これをキャラクターに代替させるのです。
この際、単に味や雰囲気の感想だけでなく、自社のモットー(モノづくりや接客のこだわり)と重ね合わせて表現することがポイントです。
こうした動きを重ねることによって、キャラクターへの親しみとともにその日々の活動そのものに共感してもらえます。キャラクターが生きるかどうかの分岐点は、
にあります。
~自らの特徴を掘り下げてみる~
ここまでキャラクターについて述べてきましたが、必ずしもキャラクターを作ることが必須ではありません。実は社長、一人一人の社員自身をキャラクター化させることでも十分ブランド化の役割を果たせます。
まずは自分自身を唯一無二のキャラクターと位置づけることです。自分の生い立ちは?信条は?過去大事にしてきた価値観は?得意技は?自分の美点は?などを掘り下げていき、それを表に出していくこと。これも立派なキャラクター戦略です。
名刺やホームページへの掲載、社内掲示など方法はいくらでもあるはずです。通り一遍のありきたりな紹介を越えた演出で周囲の見る目がガラッと変わるはずです。
そのためにも、自分自身の棚卸をなさってみてください。どんな人にも、どんな境遇にあっても必ず他の人にはない強み、特徴があるはずです。そうした存在としてこの世に生を受けたのですから…
今回のコラムいかがだったでしょうか。キャラクター戦略ぜひ皆さんも活用なさってください。マンプロもお手伝いします。