~仕事を遊びと同質化してしまおう~
私がまだ、一会社員だった頃、上司の課長からとても意義深いことを教えられました。当時の私は今の仕事とはおよそかけ離れた技術職に就いていました。周囲も資格を持っている人がズラリ。あろうことか、私のその直属の上司も資格は持っていませんでした。(その後、取得されたと聞いたのは5年後に私が退職してからです。)
その職場には何かと腹に一物あり、腕一本でこの世を渡ってきた人が多かったように思います。そういう意味でこの課長に7割が反発というか、一種の差別的な感情を抱いていたように思います。
「技術もないくせに…」
といったところでしょうか。でも、私はこの上司にずいぶん可愛がられました。何の予断も持たずホイホイついていく私が可愛かったのでしょう。(笑) この上司の口ぐせが
「できないならできないなりに」
という言葉です。早い話、「代案を考えろ!」ということです。技術は確かに稚拙かもしれない。しかし、それを補って余りある情熱があれば必ず方法は見つかる。と言いたかったのでしょう。それが、今では私の座右の銘となっています。
その仕事とは離れてしまった私ですが、企画提案を考える際は必ず「あーでもない」「こーでもない」と頭を巡らせますが、その根底にはこの経験が生きているように思います。
そして、それを進化させていま私の頭の中を支配しているのが
ということです。世の中の人は面白いから動く!そう考えています。
~寝食忘れて取り組むのはなぜか~
私は講師として登壇する際、よく呼び掛ける言葉があります。
「この世の中で最大のエネルギーは何だと思いますか?原子力?太陽光?石油エネルギー?」
いろんな答えが出てきますが、私は「面白い!」を挙げます。ちょっと質問の意図が外れているかもしれませんが、そこは大目に見てくださいと申し上げています。
「ご飯だよ~」
と呼び掛けても全く反応もせず、ゲームやマンガに夢中になった小さい頃の経験があなたにもありませんか?
では、なぜ、それほど夢中になるのでしょうか。それは
「面白いから」「先を知りたいから」
ではないでしょうか。ゲームだってマンガだってちょうど佳境に入ってきたら途中でやめられないのです。ここから先どうなるのだろうというワクワク感が空腹に勝るのです。人間の本能に近い食欲をも忘れさせてしまうこのエネルギーを活かさない手はありません。
このエネルギーを遊びだけではなく、仕事でも、社会活動でも活かしていけば新しい商品やサービスに、社員のやる気につながっていくはずです。
~いくつになっても遊びが好きなんだ~
よく「仕事とプライベートを分けて考える」、という人がいます。仕事は仕事でしっかりやって、OFFの時間は思い切って遊ぶ。というように。これは何も不思議なことでもないし、それぞれの価値観ですからとやかく言う必要もありません。
ただ、一つ言えることは仕事も楽しんでやっているか?どうかです。楽しくない仕事、窮屈な仕事が前提にあり、その憂さ晴らしというか、反動としてのプライベートなら誠にもったいないと考えます。
仕事も遊びもどちらも面白かったら言うことないじゃないですか…その観点から私は仕事をゲーム化することをいつも考えます。ちょっとわかりやすい事例を取り上げます。
以前町内のあいご会長を務めていた時の経験です。定期的に行われる奉仕作業としての「廃品回収」で、小学校5,6年生の参加率が悪いのを何とか克服したい、という課題がありました。
新聞紙や空き瓶をせっせと運ぶのは1~2年生の小さい子どもたちと親御さん。5,6年生は手伝うフリをするだけ。友人同士でぺちゃくちゃ。親が注意してもその時だけでなかなか動いてはくれません。
そこで私は一計を案じました。ゲーム化しようと…
名付けて
です。ビール瓶が総体で何本集まるか?というクイズや、近くの短期大学生にも協力をもらって環境に関するクイズ大会を行ったのです。すると上級生ががぜん張り切ってビール瓶、焼酎瓶を集めては事前に数えているのです。
これは多少ルール違反ですが、そんなことはどうでもよろしい。子どもたちが自主的に参加してくれるのが目的なのですから。
また、これにはもう一つ仕掛けをしました。メディアを巻き込む作戦です。
~面白い題材にメディアは飢えている~
単なる「廃品回収」イベントでは誰も関心を向けてはくれません。そこで、お金を一切使わずこのイベントは実施しました。
まず近隣の焼き肉店にお食事券のプレゼントをお願いしました。(子どもたちは焼き肉大好きです。)また、飲料メーカーから紙コップの廃品から作られたトイレットペーパーをデカい段ボール箱でもらってきて賞品にしました。また、その製造工程を当日のクイズ大会で紹介することで環境への関心を高めてくれることを狙いました。
加えてメディアに連絡を取ったのです。その結果、新聞社とラジオ局が取材に来てくれました。ラジオでインタビューを受けた子どものうれしそうな笑顔が今でも目に浮かびます。
メディアはこうした社会的意義のある情報には敏感です。ただ単に面白いことをやればいいのではなく、
のです。いずれにしても単なる廃品回収を「環境を考えるイベント」とゲーム化したからこそ子どもも親御さんも積極的に参加してくれたのです。
さて、こうした遊び感覚でゲーム化できることは社内にゴロゴロ転がっているはずです。私の知人が「企業内運動会」なるものを仕掛けています。これも従来の運動会種目にはないユニークなメニューを用意しているからこそ、社員の一体感が生まれています。さらに、企業の関心事である「健康経営」にもマッチしているわけです。
また、ある会社では社員全員をタレントよろしくニックネームで呼び合っています。そのニックネームも自分の特技や好きなこと、信条などと絡めたものになっています。すると、訪問客がその由来に興味津々なのです。そうして、話がぐんぐん盛り上がっていきます。接客型の業種なら大いに使えそうですね。
皆さんの社内にも目を凝らして見ればその芽がきっとあるはずです。ぜひ探してみてください。マンプロもそのお手伝いをします。