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第59話:大きな戦略×小さな戦術=大きな成果

先日人気のテレビ番組で全国各地のユニークなスーパーマーケットの特集がありました。惣菜に力を入れ人気を博すお店、小さな田舎町ながらこだわりの逸品で劇的に集客を図るスーパーなど魅力的なお店が紹介されていました。

コンビニやショッピングモール、果ては通販など様々な形態のお店が群雄割拠する時代にあって今回の特集は見るものを飽きさせませんでした。番組を見ながら成功した企業にはしっかりした軸があるということに気づかされます。その軸とは

戦略と戦術が巧みに展開されている

ということです。この二つを混同すると

「労多くして益少なし」

の状態に突入してしまいます。そこで今回と次回の2回にわたって、恥ずかしい私の黒歴史も紹介しながら「戦略」と「戦術」について考えてみたいと思います。

戦術は戦略に属する

1点目の地方スーパーは、10年連続で惣菜大賞というコンクールに入賞している強者です。そこには次から次とヒット商品を生み出すレジェンド社員の存在がありました。しかし、ここに至るまでの過程で同社がある戦略を掲げたことが成功の原因ではないかと思うのです。その戦略とは

「惣菜で差別化」

ということです。大型店やチェーン店など小売業は多用多種な業態がどんどん生まれてくる業界で、最も厳しい経営環境にあると言っても言い過ぎではないでしょう。そんな中、他社と同じような品揃え、同じような売り方、同じような価格では太刀打ちできません。そこで取った生き残り策・戦略が

「惣菜で差別化する」

ということだったのです。惣菜でメインターゲットである主婦の支持を得て、その他の商品へ波及させる。この大方針に沿って12種類もの惣菜がコンテストに入賞する(数としては日本一)という結果を生みました。

コンテストへの参加ならびに惣菜の開発そのものは「戦術」に該当します。気高い戦略を実現するには綿密に計算され尽くした「戦術」が伴っている必要があるのです。しかも、同店は社員の協力を引き出しながら組織ぐるみの取り組みをしていました。

もう一点紹介されたお店は

「食品専門×地域連携」

という戦略です。かなり大きな面積のスーパーでしたが、品揃えの何と95%が「食品」。ですから、一つのジャンルの商品が他店よりけた違いに多い。これが魅力の一つとなっています。

そしてもう一つの強みが

地域の農民や飲食店とのタイアップ

です。野菜を作る農家さんが自由に店頭に並べ値段をつけられる仕組み、コロナ禍で苦戦する地域の飲食店にセントラルキッチンを提供して惣菜として店頭に並べられる仕組み、つまり、専門店の本格的な味を身近なスーパーで味わえるという利便性を提供しています。こうした細かな戦術が消費者の支持を得ているわけです。

もう一度おさらいします。

「戦略」とは“大きな方向性”

「戦術」とは“具体的な方策”

を指します。自らの持つ「ヒト・モノ・カネ・ノウハウ・情報・時間」をどの分野に主に投下するのかを考えるのが「戦略」、そしてこの戦略を達成するための具体的な方法・行動が「戦術」にあたりますね。この二つが絶妙に組み合わさってこそ威力を発揮します。

つまり、順番が大切ということです。あくまでも戦略が先で、その戦略にひもづく形で戦術は生み出されていきます。ここで私の黒歴史を紹介しますが、私自身が冒した最大の罪が戦略と戦術の組み合わせの稚拙さです。

差別化という落とし穴

私は長い間、戦略・戦術の扱いをよく理解していなかったことを痛感します。私が今から20数年前に設定した戦略が

「医療機関に特化」

というものでした。その発想そのものは悪くはなかったと今でも思うのですが、いかんせ「戦略×戦術」の仕組みが稚拙だった。

私が取った方法が「CI(Corporate Identity  コーポレートアイデンティティ)普及作戦」というものでした。ひところロゴマークを中心に自社のイメージを高めるための総合デザイン戦略が流行りました。そこで、私はそれを医療機関に特化したのです。

これ自体は、そこそこ成果を生み出し、県内で最も多く医療機関のロゴマークを手掛けるという実績を生み出しました。

これに並行して看板やパンフレットなども手掛け、それなりの売り上げを確保していました。しかし、時代はどんどん流れていきます。まず同じようなサービスを行う業者が現れたこと、そして何より

「リピート」

の仕組みを作っていなかったことが災いしました。ロゴマークなんて一度作ってしまえば次の機会は何十年後です。そうです。注文を取っていけば行くほどどんどん顧客がいなくなるという現実。そんな状況の中エリアを他県まで拡げるという愚策を冒してしまいました。今思えば恥ずかしくて赤面します。馬鹿さ加減にも程がありますね。(笑)

さらに、医療業界はパンフレットを小売業みたいにバンバン消費する業種でもありません。そんな時代を見越して手掛けていた「ホームページ制作」業務もあっという間に多くのライバル(コンピュータソフト関連業、事務機関連業、あるいは個人でPCに明るい人材など)が出現し、当社の強みを活かす場面が劇的に減ってしまいました。

成長と安定の両立を

さて、差別化を図るという視点は大事ですが、何と何をどう組み合わせていくのか、その業界の慣習は、特徴は、市場性は、といったことを見極めていくことが重要です。私の場合、永続的に取引が可能な仕組みを作っていなかったことが最大の欠点でした。企業には次の二つの視点が欠かせません。

成長

安定

という二つの視点です。新規開拓を欠かさず続ける一方で、同じ得意先から繰り返し注文をいただくという仕組み。つまり戦術。ここが全然わかっていなかった・・・。多少そうした仕組みも入れてはいましたが、その比率が低く常に自転車操業というあり様です。

差別化を図るという誘惑に安易に乗ってはいけないことを痛感しました。差別化を図るなら大きな方向性と綿密過ぎるぐらい綿密なプランが必要ということです。

さて、ここまでお読みいただきいかがだったでしょうか?恥ずかしい黒歴史にお付き合いいただきありがとうございます。次回は、数学頭で考える、詰めの甘さを徹底して排除するについて考えたいと思います。

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