今回のコラムは絶妙なアプローチにいつも感心している企業の事例です。「この企業の広告の作り方うまいなあ~」といつも感心しているのですが、これは昨日の新聞に折り込まれていたチラシ広告です。新聞の読者と言えば、そう
が圧倒的に主流ですね。今では若者を中心に新聞離れが顕著です。ですから完璧に中高年層を意識して作られています。
実に巧みです。最近は「●活」流行り。就活に始まり、終活、婚活、腸活、妊活、そして脳活・・・
このチラシを見た瞬間、私の脳が激しく反応しました。というのも年齢が起因しているのでしょうが、最近とみに物忘れがひんぱんに起こっているのです。
「あれ、何しにここに来たんだっけ?」
と。そう、中高年にとってこの度忘れ現象は切実な問題なわけです。そこにしっかり照準を合わせている。
この「●活」のように言葉を工夫してひとつのカテゴリー、ジャンルを作り上げるのが日本人はうまいと感じます。
実は、こうしたくくり方は
という視点が生かされています。モノ自体が世の中にあふれ個性を発揮しにくい、他社と差別化しにくいという背景があります。そうしたことからこのような「くくり方」が生まれてきたように思います。
この観点からこの広告は完ぺきに「ピアノ(キーボード)」という商品を売っているのではなく、中高年にとっての「脳活」を売っているわけです。
これからの時代は、「モノ」ではなく「コト」に照準を合わせていかなければ社会に受け入れられません。ではそもそも「コト」とは何でしょう?
そのものです。モノそのものは人の行動を支える、欲求を叶えるためのツールという視点で捉え直す必要があります。
例えば、酒を飲むという行為には
「他人とのコミュニケーションを活性化させる」
という役割、行動が含まれます。とするならコミュニケーションが活発になる仕掛けが必要になってきます。
例えば、研究者や杜氏による一日の動き、想い、歴史をパッケージや販促物、サイトに表現する。そうした「場」にはキチンと酒が中央に鎮座している。そんなくくり方が「コト」そのものではないかと感じます。