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第65話:見ない、聞かない、言わないお客をどう動かす?

参議院選挙が終わりました。私が注目していた参政党も1議席を確保し、国政政党としての一歩を踏み出しました。時には過激すぎて大丈夫か?とも思える主張を掲げていましたが、真っ向勝負の姿勢はある意味清々しさを感じた部分もありました。

これから方向性がよく練られバージョンアップしていくことで国民への浸透も加速するでしょう。とにもかくにも短期間でこれほどのブームを引き起こした要因はリーダーの神谷氏による演説力、とりわけ

わかりやすさ

にあったと思います。もちろん、SNSをはじめとしたネット戦略を活用したこと、野党として既成政党の矛盾を厳しく突いて行ったことなど多くの要素があるとは思います。他の党は「こんなことやります」的なバラ色を提示したのに対し、同党は「こんなことで困っていませんか?」「こんな疑問を持ったことはありませんか」といった国民一人一人の視点、切り口で迫っていました。今後も同じ手法で展開していくのか動きを注視していきたいと思います。

さて、今回のコラムでは過去に何度も取り上げているこの「わかりやすさ」にこだわります。「何度も聞いたからもういいよ!」と言われる方もおられるかもしれません。それでもこだわります。それは人間なかなか身に着かないのが常だからです。

時間がない現代人

国や県、自治体などが発信する情報の量は半端ないのですが、「発信する側が見てくれているだろう」、「聞いてわかってくれているだろう」と期待しがちですが、現実はそうではありません。それは現代人が

時間がない

という現実があるからです。もっと深い視点で言えば自分にとって興味のある、関係のある情報以外のものに割く時間がないという方が正しいでしょう。

だから見てくれているようで見ていない、聞いているようで聞いていない、わかってくれているようでわかってない。

私たちが1日に得ている情報は古代人の一生に該当するという説もあるほどです。人から人への伝聞でしかなかった情報のやり取りが、新聞、テレビ、ラジオ、そしてネットと多岐にわたり、その情報にいちいち反応していたのでは頭と体がクタクタになってしまいます。

考えてみれば、SNSをはじめとしたネット社会の進歩で友人・知人からの情報が洪水のように目に耳に飛び込んできます。時にはそれが自分自身にとってまさにどうでもいい、人生にさほど影響を与えないような情報が飛び込んできます。

こうしたものに反応しているとあっという間に一日が終わってしまいます。そうした現代人に情報を届けるためには

私に関係がある

と思わせる要素がないといけないわけです。しかし、特に公的機関の発行する出版物などにそうした要素を感じられない、まさに一方通行ともいえる情報ツールが氾濫しています。

関係のない情報はシャットアウト

「見ていない」「聞いていない」「わかっているようでわかっていない」ことには人間の「自己保存性」が大きく関わっています。

「自分を守りたい」
「生きたい」

という本能ですね。これに加えて「知りたい」「仲間になりたい」といった欲求も現れてきます。

ここで有名なものとしてマズロー欲求の5段階というのがあります。「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5段階です。

こうしたことと照らし合わせて考えてみると、人間は自分のことが最も大事ですよね。まずは自分自身を第一に守ろうとする。(もちろん、災害時に自らの命を顧みず家族を守るという行動もありますが、これも自らを守るということ同義語です。)

話しはちょっと難しい方向に行ってしまいましたが、身近な例でお話ししましょう。以下の写真は、先日訪れた行政機関のものです。

びっしりと文字が書き込まれた印刷物、見た瞬間に興味が失せてしまいます。もちろん、切羽詰まった状況にある人、今すぐ必要な人は見てくれるかもしれません。しかし、それでもまず目に留めてくれる可能性は低いです。このような説明主体となっている広報物は、

興味があります。と関心を示した後でじっくり対面しながら提示するべきもの

です。以前から何度もお伝えしているように、読んでもらうためにはまず

気付かせる→興味を持たせる

のステップを踏まなければならないのです。この気付かせる工夫が大きく欠落しています。では、気づかせるに最も効果的なことは

忍び寄るリスク

の存在を教えてあげることです。物事の奥にある真実やレアな情報を提示して上げることです。先の参政党がわずか2ヶ月の間に一種のムーブメントを起こしたのもこの「リスク」に訴える作戦でした。

 

快楽と痛みとどっちに反応する?

人間は得られる利益と避けられる損失のどちらに反応するかと言われれば圧倒的に「避けられる損失」に注意を払うようです。

昔、勤めていた職場である先輩にお金を貸してくれと頼まれ用立てたことがあります。(額は10,000円と小さかったですが・・・)

でも、先輩は結局そのお金を返してはくれませんでした。そしていつの間にか退社してうやむやに。もう、40年以上も前の話ですが、私はしっかり覚えています。40年前にもかかわらずですよ。

一方、7~8年ほど前でしょうか。経営者仲間が店舗を移転するとのことで、仲間で生花のプレゼントをしようということになり、皆で分担することになりました。しかし、それが電話でのやり取りだったため、私はすっかりそのことを忘れてしまい負担金を払わずじまいで、数年後その幹事役からの指摘で思い出したのです。

お金を立て替えてもらった恩義はとっくに忘れ、貸したお金のことはたとえ小さい金額でもいつまでも忘れない…。まさに自分の痛みには敏感なのです。人間、肉体を抱えているだけに「痛い目に遭いたくない」という気持ちが勝るのでしょう。

こうした観点で伝えることに工夫を加えていけば、まず注目してもらえる確率が高まります。参政党はまさにその点を衝いたわけですね。

今、国民の知らないところで危機的な状況が起こっていることを知らせる。同党の主張で一番わかりやすかったのは

 

「教育」

 

の問題でした。戦後の歪んだ教育で子どもたちの生きる力を奪っている、自己肯定感を持てない、自分の国に誇りを持てない。その結果、世界でも突出して若者の自殺が多いのがこの日本という問題提起でした。

これがひいては日本の国力をどんどん衰退させてしまうという主張です。ロジックとしてとても分かりやすかったのが私の実感です。

ただ、こうした訴えが行き過ぎてしまうと煽りや陰謀論につながってしまいかねません。決して感情論に流されず論理的に科学的に分析する冷静な目も必要になってきます。

リスクに照準を合わせて表現するという強大な力は正しく使ってこそです。そして伝える内容そのものにも気を配っていきましょう。決してあらぬ方向に導くことにならないように…

さて、今回のコラムいかがだったでしょうか?伝えることの難しさ、いつも私自身痛感しています。共に考え、広報力をアップしていきましょう。

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漫画化家とは!?
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