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漫画化家道コラム
第66話:包装紙が冴えないという不幸

先日、地元南日本新聞の経済面で「魅せ方に工夫を」という記事に目が留まりました。鹿児島をはじめとした温暖な地域で採れる “トロピカルフルーツ”の「魅せ方」についての話題です。

首都圏の果物店ではフルーツそのものを売るのではなく、どうすればおいしく見えるか?という観点からデコレーションのための教室も開かれているというのです。果物をどういう盛り付けにすれば人は手に取ってくれるのか、を研究しているのですね。

しかも、現代人はそれをInstagramなどのSNSにアップして情報発信に努めてくれるので消費拡大に一役買ってくれるありがたい存在です。しかし、その観点がまだまだ地方では薄いのではないか?という問題提起でした。

これを言ってしまえばそれこそ身も蓋もありませんが、きれいにデコレーションしようと無造作に出そうと味は同じです。それでも、人はデコレーションする。それは、

“美味しそうに見える”

という結果を手にできるからです。つまり食べる前の戦いが存在しているというわけですね。

技術、モノ思考が陥る罠

実はこれギフト、贈り物とも深く関係しています。今、皆さんの元にも親戚や友人や取引先からお中元なる贈り物が届いていることと思います。

その時に不思議なのが大手百貨店から届いた贈り物と、田舎の名の知れないところから届いた贈り物は中身が全く一緒であるにもかかわらず、有名どころから届いたものの方が良さそうに感じてしまう…そんな経験ありませんか?

中身はまったく同じであるにも関わらず、です。そう

包装紙(ブランド)には偉大な力がある

のです。中身がどれだけ良くても包装紙(外見)がまずければ評価されないという厳しい現実。それほど大事な包装紙の役割なのですが、商品力や技術力をウリにしてきた企業ではその点が見過ごされることが多くありました。

例えば、料理の世界で「味さえ良ければお客は来てくれる」という価値観が幅を利かせていました。確かにまずい料理を何度も食べに来る客はいないでしょう。

しかし、それは食べた後に実感できることであって、一度も食べたことのない人にとってはわかりません。だからこそ“美味しそうに見える”というところに焦点を当てないといけないわけですね。

“美味しい!”の前に“美味しそう!”がある。つまり、食べてみたい、触れてみたい、体験してみたい、という欲求を起こさせたのちに行動が発生し、美味しさを感じていただけるのです。

これは医療の世界にも当てはまります。「腕さえ良ければ患者は集まる」という言葉。しかし、本当に腕がいいかは接してみないとわからないのです。また、患者も専門家ではないだけに、「腕がいい」と「対応がいい」を混同している場合も多いのです。

つまり、料理がうまい、や腕が良い、は必要最低条件であって顧客にとっての最大条件ではないのです。

誇張・ウソと演出

さて、「広告・PRの視点で“見せ方”“魅せ方”を工夫しましょう」と私が言うと、「身の丈以上のことをするのは性に合わない、わざと大きく見せるのは邪道だ。」という反論が返ってくることがあります。

しかし、何も私は「事実でない」ことをさもあるように見せようと言っているのではありません。そもそも「誇張・ウソ」と「演出」はまったく異なるものです。

演出は、「いま持っている強み・特徴」を、視点を変えて見せること、本当の良さに気づいてもらうための手法なのです。

例えば、常にアイデア発想豊かで面白いことを連発する広告人なら業界人らしいファッション、風貌はもちろんのこと、持ち物や語り口調まで仕立て上げることで「らしさ」が感じられます。それが演出です。先のフルーツも盛り付け次第で美味しさが違って見えたはずです。

さらに、付け加えていうなら日本人はその奥ゆかしさから積極的に前に出て自己主張をする傾向に欠けるようです。

「沈黙は美徳」

みたいな感覚がまだ残っているのですね。だから自己PRが下手だと言われるわけです。しかし、PRの本当の意味は「広告」とは異なり、素のままの私、本来の私自身の姿を知ってもらうこと、つまり「わかってください」を意味しています。いずれにしてもPRしないことには相手には伝わらないのですから遠慮せず行きましょう。

顧客の感情・メリットに焦点を当てる

では、その「らしく」見せる、感じさせるにはどうすればいいのでしょう。その秘密は

特徴をもっと細かくかみ砕いてみる

ことです。商品やサービスの機能を前面に押し出しても響きません。「機能」を分解するのです。私の手掛ける「マンガ」を題材にしましょう。

漫画を機能的な観点から解説すると、「漫画には希少性・親和性・合理性・物語性という特徴があります。希少性とは・・・・、親和性とは・・・」となります。

しかし、これでは具体的にイメージできませんね。何のことだかさっぱりわかりません。モノづくり優先思考が強いとこうした表現になってしまいます。

これをかみ砕いてみると

漫画には「目立つ・おもしろい・わかりやすい」という3つの特徴があります。「目立つ」とは真っ裸の人が街頭に立っているような状況、「おもしろい」とは時間を忘れてドラマにはまってしまった感じ、「わかりやすい」とはサルでもわかる、小学生でもわかるレベル。そんな風に表現します。

裸で走る人などまずこの世にいないから目立つ!漫画が「目立つ」のは、世の中の大部分がまだ漫画で表現していないから、という論理ですね。

このように商品の機能的な良さという作り手の視点ではなく、受け手が理解しやすい言葉に分解してみる、そうすることで顧客の感情に刺さるわけですね。

どうされたら注目してくれるのか、行動を起こしてくれるのかに焦点を当ててみる。皆さんもこうしたことにちょっと目を向けて「見せ方」「魅せ方」を工夫してみて下さい。マンプロもお手伝いします。

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漫画化家とは!?
なんでもマンガにする専門家。
世の中にたくさんあるプロフェッショナル、芸術家、格闘家、美食家…そして私は『漫画化』のプロの『漫画化家』
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