先頃おもしろい広告を見つけました。昨年の暮れに掲載された新聞広告と地下鉄の駅構内における広告です。広告主はゲームのオンライン家庭教師『ゲムトレ』。
しかも、新聞広告は「ゲーム条例」なるものが制定されている香川県内で発行されている四国新聞に掲載されました。写真は同社サイトよりお借りしています
https://gametrainer.jp/
タイトル(キャッチコピー)は
です。まさに挑戦的ですね。今回はこの一見非常識と思えるテーマをどのように捉えたらよいかについて考えます。
広告掲載の全文を紹介します。
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「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」と言われる未来があるかもしれない。
かつて、小説や漫画は毒と捉えられていた時代があった。あの夏目漱石も、小説家デビュー当時は「帝大出身のエリートが低俗な職業に就いたもんだ」と嘲笑されたと言う。しかし、今はどうだろう。人々の心を掴み、人生の糧となっている。
同様にゲームの捉え方も変わりはじめた。プレイしながら試行錯誤を繰り返して、自分の成長を実感。難しいステージをクリアすることで、自己肯定感が高まる。仮想空間上で世界中のユーザーと分かち合う。ゲームは、人生を豊かにする力がある。
日本初のゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」では、特別な体験で子どもの成長をサポート。楽しみながら、力を伸ばせるように心がけています。成長の新しいステージへ一緒に進みませんか。
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同社のサイトによれば、ゲームは障害ではなく、教育としての魅力があると捉えているようです。香川県では、2020年4月よりゲームやスマートフォンの利用を制限する「ネット・ゲーム依存症対策条例」が施行されていますが、否定的に捉えるだけではなくゲームを友人とのコミュニケーションツールやプログラミングなどの教育につなげるという意図なのです。
まだまだ賛否両論ありそうなテーマではありますが、物事の両面を見るという観点から一石を投じる広告ですね。
様々なメディアに掲載されたことからこの広告に反応した人は多かったようです。そこで見えてきたのが、
ということです。例を挙げます。人間にとって第一印象が大事とよく言われることですが、服装、持ち物、態度、言葉づかい、容姿などから受ける印象が人柄だけではなく、職業さえもイメージづけられます。
例えば、お堅い職業の代表格「教師」がまるで芸能人のような派手な出で立ちで登場したならばビックリするでしょう。
「この先生に任せて大丈夫だろうか?」
こんなマイナス面は確かにありますが、逆に強烈に記憶に残ることは間違いないでしょう。今回の広告にあるように「勉強が先、ゲームは後」という一般的な常識の逆を行く表現に、人は違和感を覚えるのですが、こうした手法が功を奏すその理由は
です。これを「認知不協和」と呼びます。人の頭の中に???を生じさせる、ギャップを作り出すことで興味を喚起できます。これはこのコラムで何度も触れていますが、人間の行動パターン「AIDMA」の法則に合致しています。
AIDMAの法則は、下記の頭文字から成り立っています。
Attention(注意・注目)
Interest(興味)
Desire(欲求)
Memory(記憶)
Action(行動)
人間は街を歩いていていきなり買い物という行動に直結しません。段階を経て行動につながっていくわけです。最近では、このAIDMAをさらに進化させた「AIDEES」という手法も盛んに用いられていますが、ここでは特に触れません。
しかし、いずれにしても時代はどう変わろうとも最初の段階で「注目」してもらわないことには始まらない、その手法としてこの「認知不協和」は有効です。
先ほど述べたように真っ当な表現、大上段に構えた表現、正論に人は反応しません。それは当たり前すぎるからです。だからあえてギャップを作り出す必要があるわけですね。
よく講演会などで私が参加するかどうかを決める際に重要視しているのが
です。このタイトルを補足するサブタイトルや短めのリード文が決め手です。このタイトルは講演の冒頭におけるつかみとも位置付けられますね。つかみの部分で笑いが取れると聞く気が起こるのと同じです。
さらに言えるのが、タイトルなどに
が重要です。話し手の一方的な自慢話や関係性の薄いことではダメです。
このタイトルに関して私の事例を紹介します。今回弊社のコンセプトを再設定しました。
です。これが弊社の存在理由です。これを聞いた瞬間に頭の中に「???」が浮かびませんか?「マンガ脳ってなんだ?」と。その詳細については後半で述べますが、いずれにしても相手に考えさせることがポイントです。
さらにもう一つ重要なこと。それはキャッチコピーやタイトルは13文字で考えることです。口頭で自社のアピールをする際は20秒の中で2つの要素を入れることを心掛けてください。なぜ13文字か…。それは、人間は長い文章は頭の中に残らないからです。長くなればなるほど前のことを忘れてしまう。そんなクセを持っています。ぜひ試してみてください。
さて、最後のコーナー。「認知不協和」という手法には必ずなぜそう言えるのか、裏付けとセットになっている必要があります。この裏付けがなければただの戯言になってしまいます。
我が社の事例、「マンガ脳の人を増やす」で考えてみます。
そもそもマンガ脳との定義は何か?
発想ができる人を増やすことを意味します。マンガそのものがこの特徴を持っているのですが、手短に解説します。
目立つ…希少価値がある、まだ世間の主流ではない
面白い…ストーリー構成。山あり谷あり、波乱万丈の物語は惹き付けられる
わかりやすい…ひと目で理解できる絵と文字がセットになっている
この3
つがあります。これを具体的な数値なりを用いて説明します。一つだけ例を挙げますと、以前、ある教育機関が東大合格生にインタビューをしました。「あなたは歴史を何で学びましたか?」と。
すると6割以上の学生が「マンガ」と答えています。それはなぜか?登場人物になり切ってつまり感情移入して読み進めるから自然と頭に入ってくるのです。頭で覚えようではなく、自然と頭の中にインプットされたと言えるのです。
絵と文字のセットで実験した事例は他にもありますが、これはまた別の機会にご紹介します。
皆さんもぜひ心掛けてみてください。マンプロもあなたとともに考えます。