マンガだけではなく、デザインの世界にも身を置くものの一人として最近感じることがあります。それは、
ということです。見やすいデザイン、親近感を覚えるデザイン、目立つデザイン…こうしたものの根底の部分は生きていくうえで大切なものじゃないかと思えることが数多くあります。
そういえば「人生をデザインする」って言葉もあるくらいですよね。人生をどう楽しく生きるか、どう彩りを持たせるか、どんな価値観を確立するかといったようなことです。人生設計と同じような意味なのかもしれません。
今回のコラムは、このデザインの観点から私たちが普段気をつけるべきコミュニケーションとリンクさせた話題を取り上げます。テーマは
です。
そもそもこの話題を取り上げるのは、世の中に情報が溢れすぎて整理そのものに追われがちな私の体験から振り返ってみようという理由です。
過去、20~30年の間に私たちが受け取る情報は何倍、いや何十倍、何百倍にも膨れ上がってきました。昔は新聞・テレビ・ラジオ・雑誌と言ったマスメディアだけに接していたものが、インターネットの登場によってホームページやメールはおろか百花繚乱のSNSの時代に突入しました。
毎日、毎日膨大な量の情報に接していると頭がパンクしそうです。情報の整理が追いつきません。新聞一つとっても隅から隅まで読んでいたら一日が終わってしまいます。
ネットを閲覧するとあっという間に2~3時間経っていた、ということはザラです。そこで大事なことが取得する情報そのものにも強弱をつけることです。
自らにとって本当に必要な情報かどうかを見極めてこそ賢く生きられそうです。(私もしょっちゅう反省してばかりですが…)
では、その強弱をつけることをデザインの視点から見てみましょう。
この年月日は、ごく普通に羅列したものです。皆さんも日頃から何気なしにごらんになっているので、特段何の不思議もなく意識されることはないでしょう。しかし、これに強弱をつけてみます。
いかがですか?ちょっと変わったものとして意識できませんか?特に数字を大きくしていますね。これは数字こそが具体的だからなのです。つぎは文章だけの事例を挙げましょう。
言いたいこと、伝えたいことの最低限を理解はできますね。結局、この文章は何ものなのかを…では、これに強弱をつけてみます。
いかがですか?ビフォーアフターで言っていることは同じなのですが、最も重要なことに絞って伝えようとしています。これが
の正体です。そうです。情報を伝える側は受け手に対して親切であるべきなのです。あまりに多くの情報に触れている現代人に必要最低限なことを伝えられればあとは当人が勝手にそれを推測してくれる…それで良いのです。
しかし、情報を伝える側はあれもこれも伝えたい、わかってもらいたい気持ちが前面に出過ぎてすべてを均等に伝える・・・これが消費者の頭を疲れさせる元。必要な情報にそぎ落とす。これを意識したいですね。
情報に強弱を持たせる理由として、人は一度に多くのことを処理できない、忘れやすいというクセを持っていることもその一つです。一つの情報を伝えた後、すぐに新しい情報を与えると、古い順番からどんどん忘れていきます。
それは記憶力が良い悪い、の問題ではなく、脳の構造がそうなっています。次の新しい情報を脳の中に入れ込むためには捨てる必要があるのでしょう。だからこそ、よくメモを取る習慣が力説されています。
また、そのメモもただ乱雑に書くだけでは記憶に残らない…。ひと目見ただけで構造的に理解できる記録法が必要です。私はよく
というのを利用しています。木の枝が幾本にも分かれ、その関係性ごとにさらに枝分かれしていくように記入する方法です。時系列に追わない分、素早く必要な情報に到達できるメリットがあります。書籍も発行されておりますので、皆さんも一度お試しになってみてください。
強弱をつけると関係しているのが伝える順番、話す順番です。順番を間違えると「君の話は何を言いたいのかよくわからない」結果を招いてしまいます。
本題、つまり何が言いたいのかを明らかにせず、ダラダラ今日の出来事を話して最後に結論を述べるパターンを繰り返す人がいます。確かに結論は聞けるのですが、途中でモヤモヤが残ってしまい、聞く気が失せ伝わらない結果になってしまいます。
これが鉄板ルール。この順番が理解を早めることになります。この順番にも強弱をつけます。先ほど数字の威力に触れましたが、理由(根拠)は3つに絞って伝えるとわかりやすくなります。事例を挙げましょう。
といった具合です。このように極力絞り込んで伝えることでスッキリ、ストレートに伝わりやすくなります。
以上、情報の強弱について述べてきましたが、最後にこの写真を見てください。ズバリ強弱をうまく取り入れています。すなわち情報の核と枝葉をしっかり分けて考えることです。ここにも数字の威力がいかんなく発揮されております。皆さんもぜひ意識してみて下さい。