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第75話:余白の美しさはすべてに通ず

前回のコラムでは、デザインの意味や時代の価値観の変化、その役割について述べました。今回は、もう少し具体的にどういうデザインが人の心を捉えるのかについて書きます。

私は広告やデザイン分野の人間ではないから関係ない

とおっしゃる方もあるかもしれませんが、実は無関係ではないのです。デザインの役割が

「美しさ」や「使いやすさ」などの狙いを実現するために創意工夫すること

だと前回述べました。これって広い意味での人生と関わっていませんか?凛とした生き方、使いやすい道具、理解しやすい話し方etc. 何か意図をもって新しいコトやモノを作っていくうえでその使い手が少しでもラクできるにように考えますよね。

これこそがデザインの本質です。もちろん専門的な部分ではデザイナーなどに委ねないといけませんが、デザイン思考で臨むことは時代の必須なのです。そう、デザインセンスが上がれば自然と社の運も上向いてくるのです。

バランスが中心点

デザインを考えるうえで一番大切にしていることは?と尋ねられたら、私は迷うことなく

バランス

と答えます。バランスが取れている、バランス感覚が豊か、バランス思考…などバランスはよく話題に上る言葉ですね。ある方向だけに偏りすぎるとどうも居心地が悪くなってしまうのです。バランスといえば

・ふだんは優しいけど、まちがったことをするとちょっと怖い

・いつも快活で笑いを振りまく人だけど、涙もろいところもある

・仕事は緻密にやるけど、やると決めたら大胆

・豪華なフランス料理もたしなむけど、大衆の味ラーメンも好き

・金儲けにどん欲だけど、寄付などボランティアにも積極的

こんな人ってあなたの周りにいませんか?こういう人ってどこか魅力的ですよね。一種のギャップというか・・・真逆とも思えることを実に良いタイミング、場所で使いこなす人がバランス感覚に優れているといえるでしょう。

デザインも同じです。デザインは、何と言っても人の心を心地よくするために存在するのですから・・・

お客の頭の中を疲れさせない

では、そのバランスを整えるためのデザインの基本原則。さしずめ私は次の4つだと考えています。

①近いものでまとめる

②スッキリ整列させる

③反復のルール

④メリハリをつける(対比させる)

この4つの原則は見た目がカッコいいという物理的な効果だけではなく、

広告を見る側の負担を軽くしてあげる

ことにつながっているのです。ここ大事。

過去30年前と比較して、私たちが得る情報量は20倍とも30倍ともいわれます。それはそうですよね。昔は新聞やテレビ、ラジオ、雑誌といったマスメディアだけで情報を得ていたものが、今ではテレビの多チャンネル化をはじめ、フリーペーパー乱立、それにネットやSNSの普及でものすごい量の情報に接しています。

こういう時代にあって必要な情報を分かりやすく、早く、的確に伝えていかなければなりません。それをいつまでもダラダラと情報を流していると、お客の時間をどんどん奪っていくことになります。そうするとお客は途中で離脱してしまうのです。

お客の時間や頭の中の容量をムダに奪わない

工夫が必要となってくるのです。

【近いものでまとめる】

似た者同士をエリアごとにまとめて配置する。ということです。例えば学校で4年生と5年生と6年生が入り混じったグループを作ると誰が何年生か色違いのユニフォームでも着ていない限りわかりませんよね。

4年生はこのエリア、5年生は、6年生はここ。というように分ける。こうしたことは、普段オフィスでも行われているはずです。ここがわかりやすさのスタートです。

【スッキリ整列させる】

運動場で子どもたちをグループ分けしたとしても、それぞれの固まりがデコボコだったらどうもこれも居心地悪いです。一列目は前に飛び出して、二列目は逆に後ろに引っ込んでいる。これを遠くから見ると何となく気持ちがモヤモヤする。これと同じです。

これを広告の中で整列させるととてもスッキリして気持ちがよくなるのです。

【反復のルール】

近くをまとめる、スッキリ整列と似たパターンではありますが、同じデザインを、ツールで揃えるという意味合いです。例えば、機械製造工場には多くの工具がありますが、これをバラバラのメーカーのものを揃えるとどうも使い勝手が悪くなります。同じメーカーで一定のルール化された仕様で作られた工具なら使いやすいはずです。極端に言えば目を閉じたままでも工具のありかがわかる…

こうしたことで随分省力化できるのではないでしょうか?

【メリハリをつける(対比させる)】

次のルール、私はこれを非常に重視しているのですが、このメリハリをつけないと非常に違和感を覚えます。ここに公的機関が出した発行物の事例を挙げます。

私はこの広報物を見た瞬間、じっくり読む人がいるだろうか?と大いなる疑問を持ちました。多少整列はされているのですが、いかんせん文字数が多い。これを見た瞬間にほとんどの人が「ウンザリ」すると思います。

たとえ、この情報を今すぐ必要とする人がいたとしても、肝心かなめの情報にたどり着くまでに相当の時間を要します。つまり読み手の時間を奪い、脳の中の容量を奪ってしまうわけですね。

行政の都合で作られたもので人にやさしくないと言えます。ここで決定的なミスは

強弱がない

ことです。ほぼどの情報も均等にレイアウトされています。そして何より誌面に遊びがありません。車だってハンドルに遊びがないと危険!ですよね。

ここに載っている情報も今すぐ必要な情報(事前に知らせておいた方がいい情報)、今すぐでなくてもいい情報(問い合わせがあってから提供してもいい情報)があるはずです。

しかし、よくあることですが、広告のチラシなどを作る際、

作り手側としては思い入れが強いため、あれもこれも!入れたい

ということになりがちです。しかし、ここはとにかく我慢、我慢。必要な情報に絞ることが大切です。そこで広報物、広告を読みやすくする秘訣、それは

余白

です。この余白をうまく使うことで見やすくなるし、読みやすくなるのです。これは人間だって同じですよね。常に一杯いっぱいの状態ではなく、時間や頭の中に少しでも余裕、余白があると新しい発想に使えるチャンスが増えますね。

まさに、デザインはそうした私たちの生き方とも相通じているのです。

さて、今回のコラムいかがだったでしょうか?自分自身、自社をデザイン的視点から見つめることで広告、広報の分野だけではなく社内の仕組みそのものにも波及していきます。今一度お考えになってはいかがでしょう?マンプロもお役に立ちます。

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