ふるさとの偉人マンガシリーズとしてさつま町出身の原田正純先生を題材とした漫画を担当しました。
原田先生は、胎児性水俣病を発見した人物して患者自身や家族に親身になって寄り添い、治療に尽くした方として著名な方です。
水俣病が発見されたのは今から約70年前のこと。最近、テレビや新聞等で被害患者と国との交渉の席で患者を傷つけたとのことで話題になったので関心が高まっていますが、この発見から救済に至るまで長い長い歴史を刻んできた公害問題です。
お隣、熊本県の豊かな不知火海の魚を食べた住人が次々に原因不明の病気になり、公害病の原点ともいわれる病気です。
この病気の発端は街の中心部にあった化学工場を原因とする水銀の海上放出です。
今でこそ、環境問題への関心の高まりもあり、体に毒があるかもしれないものを垂れ流すなど考えられませんが、当時は行政も企業も経済優先でさほど問題になっていなかったのです。
そこに敢然と立ち向かったのが原田医師。それまでの医学の常識であった「毒物は母親の胎内を通さない」に疑問を抱き研究と患者の診察に明け暮れます。それでもなかなか進展せず、悶々とした時を過ごしますが、あるきっかけから医学界に残る発見にたどり着きます。
今回のマンガでは、病気発見の過程における苦悩や患者との交流、家族間の愛情などが展開されています。原田先生が本当に伝えたかった事、それは人間は自然の一部だということ。皆さんも今一度この本を通して、水俣病が私たちにどんな教訓を与えてくれたのか触れてみてください。